車検の時にブレーキのOHとディスクの研磨をやってもらったものの、パッドは古いまま。そして、「残量2mm、要即交換」と言われていたので、交換作業を行う。ガレージジャッキは、余裕を見越して重量33kgもある耐荷重3tのものを選択(1.5tのものと価格がほとんど変わらなかったから)したものの、森君を持ち上げるのはかなり不安と恐怖を感じ、推定500kg程しかないP様のフロントを持ち上げるのがやっとのように思えた。
パンタジャッキに比べてそれ程軽いとも思わず、ジャッキをかける時と馬に降ろす時にかなり神経を使う為、楽かどうかと問われれば「さほどでも」と答える事になる。だが左右一度に上げられる点と、馬に載せた後の安定感はやはり絶大だ。持ち上げた前輪を手で回すと、まるで錆びているのではないかと思える程動きが悪かった。以前はタイヤを回すとシャリシャリと音はしていたものの、こんなに重くはなかった。何も1円玉を貼り付けた途端にゆっくりと回転を初め、1円玉が下になった所で止まる程ではなくても良いが(それはMotoGPの車両)、せめて指1本でぐるんぐるん回せる位ではあって欲しい。
インパクトレンチがない為、上げた後にホイールナットを緩めるのは不可能。なので上げたり下げたりを繰り返さなければならなかったのも、ガレージジャッキによる作業が面倒に感じた要因の1つだ。だが持ち上げた後に、タイヤと地面の間にブロックを挟んでタイヤを固定する方法を発見してからは、一気に作業が楽になった。買って良かった。
タイヤを外し、キャリパーを持ち上げ、パッドを外し、ピストンを押し戻す。幸いにもフルドは溢れる事はなかった。パッドを外した途端、ローターは普通に回るようになった。一体どんなOHだったのだろう?
外したパッドはこのように釣るだけで、作業性が500倍位向上する。パッドを外すのにかなり強い力を要した為、サポートプレートを軽く磨く。正確には新パッドをはめた後、かなり長時間にわたりぐりぐりと脱着を繰り返して馴染ませただけなのだが。
取り外したパッド。やはり内側のみが激しく消耗していた。外側はまったく減っていない?!。そしてサポートプレートで固定する部分が見事に錆びている。
反対側も同様。但しこちらは三角減りが激しい。この極端な減り方は一体どういう事か。2年前の車検時にはどうだったのだろうかという興味が沸く。サポートプレートの部分の錆びも同様にひどい。
購入時のP様のブレーキは、ディスクが錆び錆びで、ブレーキをかけると「ゴー」という激しい音がした。ウェット路面でロックさせる事が出来ない程のものだったし、ノーズダイブの仕方も変だったが、ミッドシップ車だからなのかと思っていた。幸いにも街中を走る程度では問題のない効きだったし、引きずってはいなかった(時速1~2kmでクラッチを切って目をつぶると、いつ止まったのかがまったく判らない)為つい放置してしまっていた。しかし実際にはOH前はフロントブレーキがあまり(まったく?)効いておらず、結果ローターはいつまでたっても錆びが取れずで、OH後はピストンやキャリパーの動きが良くなったにもかかわらずパッドは古いままで動きが極めて悪いままだったからという事ではないかと結論づけた。
またOH直後はブレーキのタッチがフッカフカになっていた。すぐにエア噛みを疑ったが、まあ普通の車のタッチになったとも言えるし、今まで動いていなかったピストンが動くようになるとこういう事になるのかと結論づけていた。しかし今回の作業でそのフカフカ症状も何故か消え、以前のようなまるで壁を踏んでいるかのような素晴らしいタッチが戻って来た。ネットで検索してみると、OH後にフカフカになるというのはよくある話のようで、しばらく走っていると直るとか、しばらく寝かせてから再びエア抜きを行うと直るとか、症状は色々である。それが今回はパッド交換であっさりと直ってしまった。パッド交換というよりは、交換の為にキャリパーをひっくり返したりピストンを押し戻したりした時にエアが抜けた(上っていった)のか。三角減りパッドのせいでキャリパー位置がミリ単位で動いていた可能性も捨てがたいが、ではなぜ今までは平気だったのか?(→ピストンが完全固着していた?笑)。
いずれにせよ、「正しい状態」というのがやっと判ったので、次回以降は堂々とおかしいと告げる事が出来るようになった。しかし何よりも、簡単な事は「自分で」「小まめに」やるという事の必要性と大切さを痛感した次第だった。だがこれで、ただ動くだけの元放置車だったP様も、やっと少しはまともになって来た。
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