例によってヒマな休日。我が家のタイムカプセルのような物置部屋からこのような記載のある箱を発掘。
おそらくは20年振り位に開封されたであろう箱の中身は、まるで国立科学博物館に収蔵されたかつての工学機器のようなちりめん塗装(?)が施された、何やら怪しげなこのパーツ群はというと…
我が家に眠る幻の25cm反射望遠鏡の鏡筒から取り外されていたパーツの数々だ。比較の為に置いたiPhone7から、その巨大さをうかがい知る事が出来るだろう。(iPhone5ではない!笑)
25cm主鏡で外光を反射させると、外の風景がこのように巨大サイズで写し出される。この対物レンズ(鏡)で作られた像を、ルーペの役割を果たす接眼レンズで更に拡大するというのが、望遠鏡の仕組みだ。なので対物レンズがまず良くなければ、どんなに優れた舶来の銘接眼レンズを使用した所で、ぼやけた像を一生懸命拡大するに過ぎない。流石にこんなすごい像を見たのは生まれて始めてだった。
その時の様子はこんな感じ。残念ながらかなりの曇りに加えてカビにも襲われている。主鏡(とセル)だけで8kgもあり、それだけでもかなり持て余す。ましてやこの鏡だけでも現在の価格に換算して20~30万程だったと知ると、無下に扱う事も出来ない。文字通りのお荷物になりかねない。
つづいては15cm鏡筒を引っ張り出す。こちらの方が小さいが程度が良いと昨世紀末には多用されていた筈なのだが、こうして改めて見てみると、筒の痛みが激しい。まるで廃望遠鏡のようだ。
写りに関係がないとはいえ、すごい…。まあ製造後軽く50年は経過しているので致し方ない。
主鏡のダメージは思ったより酷かった。幸いにもこちらの方はまあまあ扱い安い(…といっても現在の価格にしてやはり10万円程になるのだが)ので…
思いきってセルから外し、それをまさかの水洗いし、更には中性洗剤とシルボン紙で……………した所、少しは綺麗になった…か?
脚とマウンティングも引っ張り出す。こちらもまた、鉄と木の壮大な造形物の遺構であり、一歩間違えば粗大ゴミ以外の何者でもない状態だった。がまあ写りに影響する部分でもないし、鏡筒同様、触って手が汚れない程度に拭いただけ。
それらをボクの部屋へと運びあげ、狭い室内に組み立てる。光軸調整も主鏡中央の黒い点を見ただけで意図を察し、ネット等で情報を得る事もなく行う事が出来た。判らない事があった時、その道の専門家を見つけて根掘り葉掘り訊くというのも問題解決のてっとり早い手段の一つではあるが、そんな事をしなくても少し頭を働かせれば判る事もある。もしも「その道の専門家」がいなかった場合はお手上げになってしまい、あれこれと出来ない理由を力説するヒトに対しての、ボクの数少ないアドバンテージだ(笑)。
直径15cmの金属円筒は、やはりどうみても「大砲」である。そしてやはりどう見ても廃望遠鏡である(笑)。
135m離れた場所に貼られたいつもの政治家の先生のポスターを試写してみると、思った以上に良さげな感じ。画面左端部の8mm角の文字が鮮明に読める…ような気がする。流石に腐っても有効径150mm。アストロR-74の倍であり、面積比(=明るさ比)では4倍になる。望遠鏡は太ければ太い程偉いという世界に於いて、本当に「腐っても○○」な存在なのではないだろうか。残念ながら梅雨の真っ最中で、星を視る事はまだ出来ないが、大いに期待出来そうだ。
XX.X XX.X