さて。無事に送り届けることができて一安心。
同僚のマンションは、私が前に1人で住んでいたマンションのすぐそば。
仕事場に近いから。
マンションのエントランスを出て、辺りを見回すと。
見慣れた車が少し離れたところに停まってる。
私が出てきたのが見えんだろうな。
ゆっくりと発進して、運転席の准くんがやっと確認できるくらいのところまでくると、停まる。
いつもの帽子に、マスク姿だけど、すぐにわかる。
ハンドルに右手をかけたままで、手を振る。
ここだよと言ってるみたい。
さっと助手席に乗り込むと、
「ふふ。お疲れ様。」
と、優しく言われた。
すぐに車を発進させる。
「ありがと。准くんこそ、お疲れ様」
言うと、准くんが手を伸ばして、私の手を握ってくれる。
「冷たいよ」
「桜前線なんて言ってるけど、まだまだ寒いよね」
そして、車の温度を少し上げてくれた。
ちょっとした思いやりが、すごく特別で贅沢な気がする。