「おとなになったらねるとけっこんする!」


「おとなってなんさい?」


「ん〜にじゅっさいだよ!」






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幼稚園から…、いや、生まれた時から一緒だった私達。




私より2日前に産まれた、てち。



病院が一緒で、隣同士で寝ていたらしい。




それから、幼稚園、小学校、中学校、高校……、ずっと一緒だ。






こんなにずっと一緒に居るとは思わなかった。



一緒に居る中で生まれた、私の中の変化…。








てちは、中学生の頃は肩まであった髪の毛を、バッサリと切って高校生になってバスケを始めた。



運動神経がいいのは知ってたけど、こんなにバスケの才能があったなんて…。

そう思うぐらい上手だった。



だけど、"綺麗な顔立ちにショートカット"、そして、"バスケが上手"なてちは、「カッコいい!」と騒がれるようになった。





チヤホヤされているてちを見て、ずっと一緒だったせいか、「取られた」そんな気持ちになっていた。









「ねる帰ろーっ!」


『うん!』





私はバスケ部のマネージャーをしている。



登校も帰宅も、てちと一緒。




それを面白く思わない人も居るだろう。



家も近いし、部活も一緒。

言ってしまえば、私達はほとんどずっと一緒に居る。




「てちを独占したい」
そんな気持ちが芽生える度に、てちのことが好きなんだと実感する。





「今日芽実が昼休みに私のクラス来てさ、明日お弁当作ってきていいですか?とか言ってきたの!いや、いきなりすぎるでしょって感じじゃない?」




芽実ちゃんは私達の一つ下の後輩。

同じバスケ部で、入部当初からてちを慕っている。


てちは、初めてできた後輩で、しかも自分のことを慕ってくれる、そんな存在が嬉しいみたいで妹のように可愛がっている。



だけど、私からすれば「また芽実ちゃんの話かぁ」と気を落とすような話題。





『とか言って嬉しいんでしょ?慕ってくれて、お弁当まで作ってきてくれるなんて…』


つい、嫌味っぽく言ってしまう自分が嫌になる。






「ん〜、まあねるが作ってくれたらもっと嬉しいかもね?」



『…えっ?なにそれ。今までそんなこと言ってきたことないくせに』



「だってねる私の為に何かしてくれるとかなさそうじゃん〜」



『してるじゃん!朝起こすし、試合近くなったら練習付き合うし…』


「そういうのじゃなくてさぁ…。あ〜、ねると結婚するって言ったのになぁ」




てちが急にそんなことを言い出して ドキッ とする。






『…よ、よく覚えてるね』



「そりゃね〜?ねるも覚えてるんだぁ?」





ちょっと悪戯っぽく笑うてちの顔に、心臓が ドクっと音を鳴らす。






「結婚するってなるとさ、まずは付き合わなきゃじゃない?」



『へっ?まぁ、そう…なのかなぁ』



「ねるは全然ヤキモチとか妬いてくれないよねぇ。私はさ、ねるが理佐と仲良くしてるのとか見て あ〜私のねるなのに〜 とか思っちゃうし、私だけを見てほしいなぁとかさ…」





さっきまで少し余裕そうな表情で話していたてちが、急に寂しそうな表情をする。






『てち…?それ、どういう意味…』



「私はずっと、ねるのことが本当に好き。いつか言いたいってずっと思ってて、今、言いたくなった。」





真っ直ぐに見つめられる瞳に、ドキドキと音を鳴らす心臓は、どんどんと高鳴っていく。



そして、てちの言葉を理解するのに、少しだけ時間がかかった。






『てちが…私のことを…?』


「そんな素振り見せないように、余裕な顔してきてたけど、もうそんな余裕もなくなった。それぐらい、ねるのことが好きだよ。」





私が今まで隠してきた私の気持ちを、解放するかのように、てちは自分の意味を言葉にする。



嬉しさと驚きで、涙まで溢れてきた。





「…えっ?ちょ…ごめんごめん泣かないで!驚かせてごめん…」



悲しそうな顔をして、私に謝るてちに、思い切り首を振った。





『違う…違うの…。嬉しくて…てちが私のことを好きってことが嬉しくて…』



「嬉しい…?」



『うん、私もてちのこと好きだから。気づいたらずっと好きで…独占したいなんて思う時もあって…』




私の言葉を聞いたてちは、一瞬にして笑顔に変わった。

そして、嬉しそうに私に抱きついてきた。





「本当に?私のこと好き?」



『うん、好き…』




てちが私を抱きしめる力は少しだけ強くなった。

そして、身体を離し、真っ直ぐに目を見つめてくる。





「私と、付き合ってください。」



『…はい!』






いつから始まったか分からない、私の片想い。




どんどん好きになっていた想いが、止まることなく、てちに届いた。






初めて感じる、てちの唇の温もりが、心地良くて離れたくなくなった。








--終--