佑唯が「今日は焼肉が食べたい」って言うから、何度か来たことのある焼肉屋さんにやってきた。
佑唯は身体は小さいくせに、意外とよく食べる。
ちょうどいいタイミングで器用にお肉を焼いていき、白いお米と一緒に口の中へと運ぶ。
少し頬が膨らんでご飯を食べている顔が、ハムスターみたいで面白い。
「ん、理佐ちゃんまたハムスターみたいとか思ってたでしょ!」
『はは、バレた』
「もう〜!そんなこと言ってるとこのお肉全部私が食べちゃうよ!」
『え、それはダメ。私だってお肉食べたいもん』
「じゃあ人の顔見てないで箸動かしてくださ〜い」
ムカつくけど、笑ってしまう。
小さな口を一生懸命動かして私に訴えかけてきている。
こうして、佑唯と一緒に居るようになって、少しだけ変わっているような気がしている自分に、本当は気づいている。
だけど、それを素直に受け入れられない自分も居て、私はちゃんと誰かを真剣に好きになれるのか、信じきれなくて 怖い。
注文したご飯を綺麗に平らげ、「お腹いっぱい」と幸せそうに微笑む佑唯。
一緒にゆっくりとお酒を口に運ぶ。
「理佐ちゃん、なんか今日疲れてる?」
『ん〜昨日ちょっと仕事が大変でね。その後…まあ色々あれで…』
「はは!そんな誤魔化さなくても分かってるけどね!じゃあ今日は早めに解散しよっか!」
やっぱり、ちょっとだけ悲しそうに笑う。
私って、ズルい人間だ。
佑唯と一緒に居たら、何かが変わるかれない なんて思って、佑唯を突き放さずに一緒に居ることを選んだ。
だけど結局、傷つけてることに気付いていながら、自分を認めきれずに また傷つける選択をし続けている。
『じゃあ、家まで送るよ』
「大丈夫!それだと結局理佐ちゃんが疲れるじゃん!その代わり、またすぐご飯行こうね!」
『…うん、分かった。』
これじゃ、どっちが年上なのかわからない。
いや、中身は私の方が年下みたいだ…。
帰り道、駅までの道をゆっくりと歩く。
「私、やっぱり理佐ちゃんのこと好きだなぁ」
『なに、急に。』
「なんか言いたくなっちゃった!」
そう言って、私と目を合わせて無邪気な笑顔で笑う。
佑唯は、本当に素直な人だ。
自分の気持ちに真っ直ぐで、私への想いも伝えてくれる。
前まではそれも特に何も思わなかったけど、最近は、私への気持ちを示してくれるたびに 苦しくなる。
この苦しみは、好きだからなのか その気持ちに応えられないからなのか…。
「ねぇ、理佐ちゃん。」
『ん?』
「無理、しないでね。理佐ちゃんは頑張りすぎちゃうところがあるから」
私の目を見て、優しく微笑む佑唯を見て、涙が出そうになった。
最近、仕事が少し忙しくなってきて、メンタルがやられてきていた。
だけど、自分の弱い部分を見られるのが嫌いな私は、そんな話 誰にもしていなかった。
佑唯は、すぐに私の変化に気づく。
本当によく私のことを見ているなぁって、私よりも私のことを分かっているんじゃないかって怖くなるときもあるぐらい。
「大丈夫、理佐ちゃんには私が居るから!ね?」
『ありがとう。佑唯って、ほんとすごいね』
「え〜そう?褒められると伸びるタイプ〜!」
『ふふ、なんかそれはちょっと違う気がするけど…』
「いいじゃんいいじゃん!褒めてよ〜!」
なんでだろう。
佑唯と一緒にいると、心が落ち着く。
佑唯の人間性なのかな。
こんな人が、近くに居てくれることって、すごく幸せなことなのかもしれない。
--続--