佑唯とご飯に行ってから一週間程、仕事が終わればすぐに家に帰る日々を過ごした。
いつもなら、週に2.3回は誰かしらと遊びに行っていたけど、なんだか そんな気持ちにもならなかった。
久々に、少しだけ仕事が早く終わって、行きつけのバーへと顔を出す。
「あら、理佐ちゃん、なんか久々じゃない〜?」
お店に入ると、オーナーの瑞穂さんと、瑞穂さんの恋人の美波さんがいた。
美波さんはたまにお手伝いで、お店に来ている。
『今日は美波さんも一緒なんですね、仕事忙しくて久々になっちゃいました』
「そうなのね〜、今日はゆっくりしていってね」
瑞穂さんも美波さんも、とても人柄の良い方たちで平日でも賑わう時は席が埋まってしまうほどの繁盛具合。
ここのバーは、女性限定のバーで、私のように女性のことを好きな女性が訪れる場所。
このバーで出会って、お付き合いを始める人も少なくない。
"今日、バー来る?"
ビールを飲みながら、なんとなく佑唯に連絡を入れてみる。
佑唯は頻繁に来るわけではないけど、私が居るときに合わせて来ることがほとんど。
しばらくすると、ここで出会って仲良くなった愛佳がやってきた。
「あれ、理佐じゃん!なんか久々!」
『おぉ、愛佳〜。最近仕事忙しくてさ、すぐ家帰っちゃってて。』
「へ〜、あの理佐が!毎日遊び歩いてるかと思ってたよ〜」
『毎日は遊び歩いてないし』
「毎日は、ね!」
私の話を色々と知っている愛佳は、いつものようにイタズラっぽい顔で笑いながら私をおちょくってくる。
「あっ、じゃあねるは?会ってないの?」
『会ってないよ〜』
「そっか〜。でも連絡きてるでしょ?あいつまた、理佐のこと好きになりそうとか言ってたから付き合い方考えとかないとめんどくさいことなるぞ〜」
そう言って、愛佳も頼んだビールが届いて、グビッと豪快にビールを飲んだ。
好きになりそう…ね。
私にはそんな感情、一切ない。
二杯目のお酒を頼もうとしたとき、佑唯からの返信が届く。
"今仕事終わったから行く〜!"
佑唯の職場は、このバーから徒歩15分程のところにある。
"OK〜気をつけて来なよ〜"
佑唯に返信をして、愛佳と話していると、しばらくしてお店の扉が開いた。
「理佐ちゃ〜ん!あ、愛佳ちゃんも居る!」
『おつかれさま〜』
「お〜!佑唯も久々じゃ〜ん!!はい、理佐のお隣どうぞっ!」
私の隣に座っていた愛佳が、席を空けて私の隣に佑唯が座る。
「愛佳ちゃん相変わらず気が効くね〜!ありがとう!」
佑唯が私のことを好きってことは、愛佳も知っている。
というか、共通の友達はみんな知ってるか…。
「理佐ちゃんが一週間以上もここに来ないの、珍しいね!」
『ん〜そうだね、常連だからね』
「てか理佐ちゃんに会うの久々だ〜!ちょっと元気になってる、顔が!」
人の顔を指差して、ニコニコと笑っている佑唯。
『なにその顔、バカにしてるでしょ』
「してないよ〜!心配してたんだから!」
いつもの調子で話し出す私たちを見て、愛佳はニヤニヤと笑っている。
「ほんと二人仲良いよね」
『佑唯がうるさいだけだよ」
「なにそれひどい〜!来る?って聞いてきたの理佐ちゃんなくせに!」
『聞いただけじゃん、誘ったわけじゃないし』
「うわ〜またそうやって!素直じゃないなぁ理佐ちゃんは。」
「ははは!ほんと面白いわ二人とも!じゃ、私はそろそろ梨加の仕事が終わるからこの辺で!」
愛佳は、彼女の梨加を迎えに行くために、バーを後にした。
そして、愛佳の席が空くと、少し離れたところで飲んでいたボーイッシュな女の子がその席に座り、佑唯に話しかけてきた。
「隣、いいですか?」
「あ、どうぞどうぞ〜!」
佑唯はいつものように、陽気に振る舞う。
お酒を飲んだからか、いつにも増して少しテンションが高い。
佑唯の隣に座った子は、明らかに口説きにきている様子だけど、佑唯はそれに全く気付いていない様子だった。
--続--