情けない自分を、どうすることもできなくて、結局来てしまった。
「理佐〜!久しぶり〜」
『うん、久しぶり』
「あれ、珍しくちょっと酔ってる?」
『ん〜分かんない。…行く?』
「あはは!やっぱり理佐酔ってるよ、理佐から言ってくるなんて珍しい」
いつものように、私の手を握って歩き出すねる。
一瞬、愛佳が言っていた言葉が頭の中を過ぎった。
「付き合い方考えておかないと、めんどくさいことになる」
だけど、今の私には、めんどくさいとかそんなこともどうでもよくなっていた。
お互いの間に、愛情 なんてものがない関係の方が、楽なんじゃないかって思ってしまっていた。
ホテルに着いて、いつものようにお風呂に入って、ベッドへと向かう。
ねるからキスをされて、そのまま身体を受け入れようとした。
その時…。
「理佐、ごめんね」
『…え?』
「私、理佐と別れてから理佐の大切さに気づいた。」
私の横に寝転がり、話し始めるねるの話を聞いた。
理佐と別れてから、やっぱり理佐のことがまだ好きだと思ったけど、それに気付いた時にはもう遅くて、別の人と付き合い始めた。
それでも理佐のことが忘れられなくて、連絡を取る回数も、会うことも少なく、浮気されて別れた。
自分が悪いことも分かってたけど、「浮気された」なんて言ったら、優しい理佐はまた私のことを考えてくれるんじゃないかって思って、久しぶりに連絡をした。
だけど、理佐が自分に気持ちがないことがよく分かって、遊び歩いてることも知ってて、私もそういう存在になって、理佐の側から離れないことを選んだ……
ということを、ねるはゆっくり、話してきた。
「この関係でもいいから、理佐の側に居られたらそれでいいって思ってたけど、もう理佐の優しさに甘えるの、やめる。だって理佐、好きな人…できたでしょ?」
『好きな人……』
「…素直じゃないなぁ。理佐、私と付き合ってた頃と変わったよ。気付いてないみたいだけど。」
『変わったよ。冷たくなったなって自分でも思う。』
「ほら気付いてない。それ、違うよ?冷たい人なんかじゃない。そうやって逃げてるだけ。自分が誰かを愛せないって、怖いんでしょ?でも…それはもう、佑唯ちゃんと出会ってから変わってるよ?」
『佑唯……』
ねるにそう言われて、なにも言い返せなかった。
それに、佑唯のことを思い出して胸が苦しくなった。
「理佐の優しさにつけ込んでごめんね?好きだったよ、すごく。だから、ありがとう。」
『うん…ありがとう…』
それから、二人の間に言葉はなく、静かに眠りについた。
「…さ。……理佐。」
『…ん 」
「ずっと電話鳴ってるよ。」
ねるに起こされて、携帯を見ると佑唯からの着信。
時刻は8時過ぎだった。
佑唯は仕事が休みの日は、いつも10時過ぎに起きる。
今日は休みなのに、なんでこんな早い時間に…。
だけどこの日は、あとでちゃんと掛け直そうと思い、その場では電話に出なかった。
そして少しだけねると話して、ホテルを出ることにした。
「もう、あんな風に理佐を頼ったりしないから。理佐は、ちゃんと幸せになってね。」
『ありがとう、ねるも幸せになってね。』
「うん、ありがとう。じゃあ、またね。」
『うん、またね。』
私達は長い時間、過ちの中で時間を過ごしてきた。
私は、それでもいいと思っていたけど、良いわけがなかった…。
それに気づくのが遅すぎた。
家に着いたら佑唯に電話をしようと思って、少し足早に家へと向かう。
佑唯の声が聞きたい。
そう思ってる自分が居て、だけど、まずはなんて話そう。何から伝えればいいんだろう。
頭の中の整理がつかないまま、家の前に着いた。
「…理佐ちゃん!」
『…え、佑唯?』
家に着くと、玄関の前に立っている佑唯が居た。
--続--