短編:(愛佳×理佐先輩)












愛「おつかれさまでーす理佐先輩っ!」



部活が終わり、シューズを履き替えている私に後ろから抱きついてくる 後輩の愛佳。




理「暑苦しいからくっつかないで」


愛「もうその言葉聞き飽きたー」


理「あんたが毎日やってくるからでしょ」




部活が終わると、いつもくっついてくるし、帰りは絶対に一緒に帰ろうとする。




最初はちょっと鬱陶しいけど可愛い後輩 なんて思ってたのに、そんな気持ちを変えさせてきたこの人…。








ー帰り道。





愛「ねぇ、先輩のこと 好き ってほんとだよ?」




2日前の帰り道、いきなり「先輩のこと好きだから付き合ってほしい」なんて言ってきた愛佳。


昨日帰った時は、この話、ぶり返してこなかったのに。






理「あ…うん…。」


愛「相変わらず反応薄っ!イエスもノーも言わないって、なに?」






イエスもノーも言えないのは、"好き"だからなんだよ。



好きだから、断りたくないし。

でも、好きだから 愛佳の気持ちを受け入れて、変わってしまう自分が怖い。




愛「先輩って、部活の時はあんなに チームのこと引っ張って色々言ってくれるのに、なんで私の気持ちにははっきり答えてくれないの?」


そう言って、真剣に、だけど どこか悲しそうに 私の目を見つめてくる。




そんな顔、見せられたら……。




理「ごめん。」


愛「ごめんって…」




愛佳の言葉を遮って、愛佳のことを抱きしめた。




愛「…え?」


理「好きだよ、愛佳のこと。だけど、ヤキモチ妬いたり…独占したくなったり…そういう気持ち出てきちゃうのが、嫌で…」


愛「待って?理佐先輩、可愛すぎますよそれ…」




部活の時にしか使ってこない敬語を、急に使ってきて、それだけで心臓が キュン と締め付けられるように苦しくなった。


私、自分で思ってる以上に、愛佳に惹かれてるんだ…。





愛佳は私から身体を離し、まっすぐに目を見つめてくる。



愛「先輩、私と付き合ってくれる?」


理「…うん。」


愛「やった!」



嬉しそうに、目を細めてクシャッとした笑顔を見せて、すぐに私のことを抱きしめてきた。


その力の強さで、愛佳からの気持ちが伝わってくるみたいで嬉しかった。




理「私、素直じゃないし…」


愛「知ってる。」


理「部活のこと考えると周り見えなくなるし…」


愛「知ってる。余裕そうに見えて、すぐヤキモチ妬くんでしょ?機嫌悪くなると、口数減るんでしょ?寒いの苦手なんでしょ?

理佐先輩のこと、たくさん知ってますよ。そんな先輩のこと、好きになったんだもん。」




あぁ、愛佳は本当に、私のことをよく見てくれてたんだな…。


その気持ちから逃げようとしてしまった自分が、情けない。




だけど、


理「愛佳が誰かに取られるのは嫌だから、もう少し素直になる…」




今、愛佳が私に向けてくれている気持ちが、いつか他の誰かに向いてしまうなんて嫌だから、嫌気がさされないように、愛佳の前では素直になりたい。




愛「私、理佐先輩のことしか見てないから大丈夫。だけど、素直になってくれたら嬉しいかな!」


理「…うん。すきだよ。」


愛「理佐先輩可愛すぎるって…。だいすきですよ。」




私の手を強く握って歩き出す愛佳に、今までにないぐらい ドキドキ と心臓が音を鳴らしていた。




年下のくせに、しっかりしてて、リードしてくれて、まっすぐに気持ちを伝えてくれる。



そんな愛佳に、いつしか心惹かれて、私は今 愛佳の彼女として 隣を歩いている。





私、今 すごく幸せ…。



この幸せを 手放したくない。そう思った。






--終--