短編:(理佐×ねる)
あの時、私に手を差し伸べてくれたのが、理佐だった。
私はその優しさに甘えて、その手を取った…。
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理「また、あいつのことで泣いてんの?」
ね「…あ、理佐…」
放課後、教室で一人、涙を流す。
外からは、部活をやっている生徒達の声が聞こえてくる。
理「まあ、そんなことだろうと思って、来たんだけど…」
ね「でもね、今回は大丈夫。ちゃんと謝ってくれたし…」
理「今回は…って、その浮気何回目?何回ねるを傷つけてる?すぐに謝ったら解決、じゃないんだよ」
分かってる。
私がバカだってこと。
何回も浮気されて、その度に許して、一緒に居ることを選んで…。
ね「でも、好きなの…」
理「ねぇ、それ本当に好きなの?一緒に居ることに依存してるだけじゃない?好きと依存は違う……。」
好きと依存は違う。
そんな言葉の意味、分かるはずがなかった。
一年付き合ってきて、ずっと好きで、一緒に居ることが幸せで。
これからも一緒に居たい。そう思ってたから。
なにも答えられない私に、理佐はいつものように、呆れてため息を落とす。
こんなことになれば、いつだって理佐が側に居てくれた。
いつだって、話を聞いてくれた。
だけどこの日は、いつもと違うことが一つだけ…。
理「もうさ、私、ねるがそうやって傷ついて泣いてる姿見たくないんだよ。私だったら、そんな風にねるを泣かせない。傷つけないよ。」
ね「うん…」
理「うん、って、私の言葉の意味分かってる?そいつなんか別れて、私のところに来いって言ってるの。まだそいつのことを好きでもいい。でも絶対、私のこと好きって思わせるから。」
理佐の言葉に、驚いた。
いつだって側に居てくれるのは、友達としてだと思っていた。
いや、もちろんそれもあっただろう。
だけど、理佐の中には それとは違う感情があったことを、この時初めて知った。
ね「理佐、でも私……」
涙が溢れて止まらない私を、優しく抱きしめてくれる理佐。
その温かさが、心の奥へと染み渡っていく…。
理「まあ、ねるが決めることだから。でも もうこれ以上、傷つくねるを見たくない。」
私のことを抱きしめてくれる力が、強くなった。
私の心はきっと、もう限界だった…。
理佐のことを抱きしめる力も強くなる。
理佐の優しさに、甘えることしか出来なかった。
それでいい って言ってくれるてるみたいに、私を抱きしめる力がフワッと優しくなって、頭を撫でる理佐。
ね「うぅ…理佐っ…ごめん…」
理「謝られるようなことしてないから。ありがとうって言ってくれない?」
私に優しく笑いかける理佐の笑顔に、私の心は少し、軽くなったような気がした…。
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理「おーい、早くしないと置いていくよー」
前日から理佐の家に泊まって、先に準備が終わった理佐が玄関で私のことを待つ。
高校生だった私達が、大学生になって、理佐は一人暮らしを始めた。
ね「待ってよー、すぐ行くから!てか、元はと言えば昨日理佐があんなにやらなきゃ…」
理「なにー?それで起きれなかったって言いたいわけ?あんな可愛い声出しといて…」
ね「あーもう!うるさい!早くいくよ!」
理「いやいや、待ってたのこっちだから!」
私達が付き合い始めて、三年の年月が経った。
あの時、理佐が差し伸べてくれた手を取った私は、日に日に 理佐に惹かれ 好きになった。
そして三年経った今でも、理佐の隣で楽しく笑っている。
あの時理佐が私を救ってくれなかったら、私はどうなっていたんだろう…。
救ってくれたのが、理佐でよかった。
私のことを好きになってくれたのが、理佐でよかった。
理佐のことを好きになれて、よかった…。
あなたの温もりを感じる度に思う。
この温もりは 絶対に手放したくない。
--終--