旅館に戻り、温泉へと向かった私達。






「気持ちよかったね〜!」



『ね、疲れ一気に取れた感じする』



「あ〜、お腹すいたよぉ〜」



『ふふ、ご飯も楽しみだね」





旅館に用意された浴衣を着て歩いてる佑唯の姿が、子供みたいで思わず ニコニコ と笑ってしまう。



本人はそんなことにも気付かず、頭の中はご飯のことで頭がいっぱいみたい。







「うわ〜!すご〜い!!見て、理佐ちゃんっ!」



『やっば!めっちゃ美味そ〜』





温泉から戻ると、部屋には料理が用意されていて、どれも豪華で美味しそうなものだった。







「早く食べよっ!」


『うん、そうだね』





「『いただきま〜す!』」





料理を口に運び、二人して「美味しい!」と目を丸くした。






『部屋食の旅館にしてよかったね』


「うん!理佐ちゃんと二人きりでこんなに美味しい料理食べれるなんて!幸せすぎる!」




佑唯がいつも「幸せ」と口にして笑う、その時の笑顔は、本当に「幸せ」なことが伝わってくるぐらいの笑顔だ。




その笑顔を見るたびに私の中の「幸せ」という気持ちも大きくなる。





佑唯は相当お腹が空いていたのか、それとも、料理が美味しすぎたのか、いつも以上に早いスピードで食べ終えた。







「あ〜美味しかった!幸せだなぁ」



『ほんと美味しかった〜、お腹いっぱいだね』



「うん!眠くなっちゃいそ〜」



『あ、ねぇ。この後、これ片付けてくれるみたいだし、その間にちょっと、外のテラス出ない?』





少し眠たそうにしている佑唯の目を覚ます為にも、外に出るように誘った。






いや、このまま寝られたら困る…。






「うん!いこいこ〜!」




旅館に戻って来るとき、「あのテラスの所行きたい」なんて話していたから、嬉しそうに返事をする佑唯。







テラスに出ると、小さな古池に流れる水音が静かに響いていて、落ち着く。






「またこうやってゆっくり旅行に来れたらいいね〜」



『そうだね、予定が合った時にまた来よう』



「いつもお家で理佐ちゃんと一緒に居るのも楽しいけど、こうやって外で一緒に居るのも新鮮で楽しいね!」



『うん、たまにはこういうのもいいね』






何度佑唯と笑い合って、たまには喧嘩もして、たくさんの時間を過ごしてきただろうか。


どれも、無駄な時間なんて一つもなくて、今の私を創ってくれたのは 紛れもなく佑唯だ。




私はこれからも、佑唯と一緒に、人生を歩んでいきたい。








『ねぇ、佑唯。』



「ん〜?」




綺麗な星空を眺めていた佑唯の視線が、私へと向いた。




こんなにも、心臓の鼓動が早く打つことなんて、今までになかったと思う。



それぐらい、緊張している瞬間だった。






『私と、結婚してください。』



「……へ?」



マヌケな声を出して、マヌケな顔で、私の手のひらに乗っている指輪を静かに見つめる佑唯。





『前に、いつか結婚したいね なんて話したけど、それを夢で終わらせたくない。そう思えるのは、佑唯だからなんだ。佑唯とはずっと一緒に居たい。』



「うぅ〜理佐ちゃん〜っ!もちろん!お願いします。」




涙を流す佑唯の薬指に、指輪を通して、佑唯を抱きしめると 今までの幸せも、今の幸せも全て溢れ出して、私の頬にも涙が伝った。







結婚なんて、簡単なことじゃない。


それは分かっている。




だからこそ、簡単に口にはしたくなくて、何度も足を止めてきた。




だけど、今こそ、私の中に何も迷いなく 佑唯に想いを伝えられる時だって思った。





佑唯と出会ってから、たくさんの幸せをもらってきた。

私も同じように佑唯にその幸せをあげられているか、自信はなかったけど、佑唯の笑顔や言葉で、伝わっているんだという実感はした。




これからもその 幸せ を感じられるのは佑唯がいい。




私は、この先も佑唯の隣に居られる、佑唯だから大丈夫、そう思えたんだ。








『佑唯、これからもよろしくね?』



「こちらこそ、よろしくお願いします。」





静かに重なった唇から感じる温もりは、今までで一番、特別なものに感じた。





これから先、大変なことがたくさん待っているだろう。




だけど、佑唯となら乗り越えられる。



改めて、そう思った……











--続--