きのうの朝、ダヴィッドはなんと約束通り、9時すぎに帰ってきました。
夜の7時から朝の7時まで12時間、飲んでたらしい。
でも、久しぶりに会った友だちと、飲んで、しゃべって、笑って、楽しかったみたい。1時間しか寝てないのに、元気そう。

焼きたてのパン・オ・ショコラとブリオッシュ、キッシュも買ってきてくれ、コーヒーとジュースと一緒に運んでくれました。
あれ? トレイの上にプレゼントがのってる。包みを開けると、ブルーグレイのベレー帽。帽子好きの私のために、村で買ってきてくれたみたい。こういう、ふいのプレゼントって、すごくうれしい!

買ってきてくれたのは、ル・カストレ村にあるシャンタールの店にて。アーティスティックなアクセサリーばかりをセレクトしたセンスのいいブティックで、オーナーのシャンタールのセンスが光ります。
以前、この村にいたとき、彼女は私にいろいろな話をしてくれました。

シャンタールは、夫と子どもたちと7年間、パリのマレ地区で暮らしていました。
夫はルーブル美術館で働いていて、彼女もパリが好きでした。
「夫の仕事はやりがいのある素晴らしいものだったし、子どものためには近くにいい公園があったしね」

南フランスには年に2回、ヴァカンスで来ていました。
「ある年、南仏からパリへ帰る車に乗るとき、夫がつぶやいたの。あぁ、また、あの太陽のない町へ帰らなくてはいけないのか、、って」
彼は結婚直後、ひどい交通事故にあって以来、頭痛が持病になっていて、人や車であふれかえっているパリが耐えられなくなっていたのです。
「それで、南に移ることを真剣に考えたっていうわけ」

彼は、ルーブル美術館という最高の職場を辞め、知識を活かしてアンティーク家具の仕事を始めることにしました。そして、彼女はこの村で好きなジュエリーの店を始めました。

「そうよ、人生はいつでも変えられる。そりゃ、変えるときは簡単じゃない。1年、2年と大変なことがいっぱいあるけど、変えたかったら、誰もが自分で決められるのよ」

笑顔で、でもきっぱりとそう言ったシャンタールの言葉は、実行した人のものだけに、心に響きました。

le castellet village-le dejeuner
『le castellet village-le dejeuner』