フランスでは、美容院やサロン・ド・ボーテ(エステ)が異様に多い。
そしてテレビでは、頻繁にアイロンのCMを見ます。
洋服にかけるアイロンではなく、髪にかける(?)アイロンです。髪をまっすぐストレートにするマシン。CMはいずれも、そのアイロンをかけるやいなや、するするとツヤツヤのまっすぐな黒髪になっていく、という趣向。
アイロンは、多くの女性が使っているようで、ダヴィッドの妹のジュリーも愛用。毎朝このお手入れでかなりの時間を費やしています。
「でも、雨が降るととたんにウェーヴが戻っちゃうのよね。いいわよね、あなたは何もしなくてもまっすぐで」とうらやましそうに私の髪を触る彼女。

そういえば、以前、取材でジャマイカの小学校へ行ったとき、
私のまっすぐな髪を珍しがって、「触らせてー」と子どもたちにもみくちゃにされたことがある。
あのときも、日本の艶髪の美しさを再認識したものです。

ところが、日本では、そのまっすぐな髪にパーマをかけている女性が多いのよね。
そして、カラーリングも。
かくいう私も、今でこそ黒髪のストレートヘアの美しさに目覚めてボブスタイルにしているけれど、数年前までは10年以上もパーマをかけたり、カラーリングをしていた口。
人間だれしも無いものねだり。隣の芝生は青く見えるものです。

しかし、そうは言っても、悔しいけど、心からフランス人をうらやましいと思うものがあります。
まつ毛。
赤ちゃんから大人まで、老若男女、きれいにカールした長ーいまつ毛。
うっとりしてしまう。

東京では、まつ毛パーマをしていたけど、こっちにはそんなものあるわけない!
ヘレナの下地、ランコムやYSLなどの最新のマスカラをつけ、電気式のまつ毛カーラーを駆使ししたところで、ぱっとしない。
こればっかりは、どうしたって、無いものねだり。

un chat noir
『un chat noir』