大丸と松坂屋の統合など、
この手の話題が新聞の一面を飾らない日のほうが少ない。


日本経済を支え続けてきた大企業は

いったいどこへ向かうのだろうか。


確かに、統合や合併にはメリットがある。


シェア拡大によるブランド力強化、商品ラインアップの充実、
仕入れや流通コストの削減など

スケールメリットを生かした競争力の強化は明確だ。

だがその一方で、日本航空や米国クライスラー社のように
合併の効果が出せないまま業績が

下降の一途をたどっている会社も少なくない。


企業文化の違いや染み付いた官僚体質など

失敗の原因は多々語られてはいるが、
突き詰めていくとその原因はひとつである。


実行力の不足。


すなわち、

社長を筆頭とする経営陣のリーダーシップ不足が原因なのである。

20世紀を代表するといわれる経営者

ジャック・ウェルチ。


そして

日産をV字回復に導いた

カルロス・ゴーン。


彼らに共通する最大の能力は

リーダーシップであり、
戦略を行動へと結びつける「実行力」である。


正しい戦略を立て → 実行する。


これは、どの企業にも当てはまる図式であるが、
大企業と中小企業の経営が決定的に違う理由は

この二つのプロセスの比重にある。

大企業というのは、その事業規模の大きさや社員数などから、
事業戦略も数限りなくあると思われがちだ。


だが現実はその反対で、

規模が大きいがゆえに選べる戦略には限りがあるのだ。
大手企業が統合・合併に走る最大の理由はそこにある。
他に方法がないから仕方なく、

規模の拡大という単純な戦略を選んでいるのである。

だが、その単純な戦略は、

実行力によって効果に大きな差が出る。


何万人、何十万人という人間に

戦略を理解させ行動に結びつける為には、
想像を絶するほどの強力なリーダーシップが必要だからだ。


おそらく日本人には不向きな能力なのだろう。


それがゆえに日本の大組織は、
個人のリーダーシップではなく

企業の文化で動くようにできている。

反対に、

中小企業の経営に必要なのは戦略力である。


もちろん、

実行力も必要ではあるが、
組織が小さい分、

その重要度は大企業の比ではない。


ガキ大将や生徒会長ほどのリーダーシップがあれば

十分に組織をまとめていけるし、
大事なのはむしろ経営トップの人間性である。


小さいがゆえに、

経営トップの人格が透けて見えてしまうからだ。

中小企業は大企業と違い、

取れる戦略は無数にある。


本業を変えてしまうことすら、

不可能ではない。


そこで、社長に求められるのは

戦略立案能力と戦略選択能力ということになる。


新しい戦略を自ら考える。


または

無数の戦略の中から自社の組織に適したものを選び、

実行する。

このときに最も重要なのは

選択の正確さではなく、

選択に要する時間である。


中小企業の戦略は、

小さな戦略の積み重ねであり、
その一つひとつの戦略は寿命が非常に短い。


どんなに遅くても

一週間以内に決断できないのであれば、
その戦略は期限切れとなってしまうだろう。


勝利の女神に後ろ髪はないのである。