今回は、日本数学オリンピック2004年予選第4問を取り上げ、解説します。
「正の」というのは0より大きい整数、7mは7×m、3nは3×n、102004は10を2004個かけあわせた数ということです。
数が大きいので、一見すると難しそうですが、例えば、次のように、数が小さければ中学入試レベルの問題です。
7×m+3×n=100を満たす整数(m,n)で、n/mが整数となるようなものはいくつあるか。ただし、m、nは1以上の整数とします。
(7円切手と3円切手をそれぞれ1枚以上使って金額が100円になるようにします。3円切手の枚数は7円切手の枚数のちょうど何倍かになっています。7円切手と3円切手の枚数の組合せとして考えられるものは何通りありますか。このよう表現すれば、より小学生っぽいですね。ただ、7円切手や3円切手はもうないと思うので、非現実的な話ですが・・・)
とりあえず、この問題を解いてみます。
n=m×k(kは1以上の整数)とすることができます。
7×m+3×m×k=100
m×(7+3×k)=100 (分配法則の逆を利用)
mと7+3kは100の約数のペアで、7+3×k=1+6+3×k=1+3×(2+k)は3で割ると1余る数(10以上)であることに注意します。
100の約数をペアにして書き出します。
1 2 4 5 10
100 50 25 20
7+3×kとしてありうる数は10、25、100となり、このとき、mもkも自動的に定まるから、(m,n)は3個あります。
この解法をJMOの問題で使おうとすると、約数を書き出したところだけが非常に困難になることがすぐにわかると思います。
上の解法からわかるように、約数を具体的に求める必要はありませんね。
そこで、102004の約数を書き出す代わりに、102004を素因数分解することにより、102004の約数のうち3で割ると1余る数(10以上)が何個あるか求めることにします。
上の解法で100の約数を書き出すまでは100を102004に置き換えるだけなので、その続きを考えることにします。
10=2×5だから、102004=22004×52004となります。
102004の約数は、2の使用個数(0個から2004個)と5の使用個数(0個から2004個)で決まります(洛南高校附属中学校2016年算数第1問(1)の解答・解説を参照)。
2と5のそれぞれの使用個数によって、3で割った余りがどうなるかチェックしていきます。
まず、2についてチェックします。
0個・・・1→1
1個・・・2→2
2個・・・4→1
・・・・・・・・
となり、2を偶数(0も含みます)個使用した場合(Aとします)は、3で割った余りが1となり、2を奇数個使用した場合(Bとします)は、3で割った余りが2となります。
次に、5についてチェックします。
0個・・・1→1
1個・・・5→2
2個・・・5×5=25→1
・・・・・・・・・・・・・
となり、5を偶数(0も含みます)個使用した場合(Cとします)は、3で割った余りが1となり、5を奇数個使用した場合(Dとします)は、3で割った余りが2となります。
結局、102004の約数が3で割ると1余るのは、AとCを組み合わせたときとBとDを組み合わせたときになります(このことは下のような面積図をイメージすればすぐにわかります。黄色の部分は3で割り切れるので、3で割った余りは黄緑色の部分で決まりますね)。
(あ)AとCを組み合わせた場合
0以上2004以下の偶数は2004/2+1=1003個あります(0があるので、1を足さないといけないことに注意しましょう)。
Aは1003通りあり、そのそれぞれに対てCも1003通りあるから、
1003×1003
=1006009通り (この計算は1003=1000+3として、上の面積図と同じようなものを思い浮かべれば暗算で求められます。)
ありますが、Aが0個でBが0個の場合(1)とAが2個でBが0個の場合(4)だけは約数が10未満となり、条件をみたしません。
結局、この場合は
1006009-2
=1006007通り
あります。
(い)BとDを組み合わせた場合
0以上2004以下の奇数は2004/2=1002個あります(2004+1-1003=1002としてもよいでしょう)。
Aは1002通りあり、そのそれぞれに対してCも1002通りあるから、
1002×1002
=1004004通り
あり、すべて10以上となるから条件を満たします。
(あ)、(い)より、7+3×kとしてありうる数は
1006007+1004004
=2010011通り
あり、このとき、mもkも(当然m、nも)自動的に定まるから、(m,n)は2010011個あります。