正十二面体のサイコロがあり、各面には1から20までの数がいずれか一つずつ書かれていて、1の書かれた面、2の書かれた面、・・・、20の書かれた面はすべて1面ずつあるとする。また、このサイコロを投げたとき、どの面が出ることも同様に確からしいものとする。

(1)このさいころを2回投げて、出た面に書かれた数の和が6の倍数となる確率を求め、結果のみを答えよ。

(2)このさいころを3回投げて、出た面に書かれた数を5で割った余りを順にa、b、cとする。ただし、5で割り切れるとき、余りは0とする。

(ⅰ)3数の積abcが0となる確率を求めよ。

(ⅱ)abc/6が整数となる確率を求めよ。

(注) 正十二面体のサイコロ・・・→1、2、・・・、20の数字が1つずつ書かれたカードが20枚あると考えればよいでしょう。

同様に確からしい→小学生の場合、とりあえず、同じ割合で起こりますと考えればよいでしょう。

確率→小学生の場合、とりあえず、すべての場合に対してある場合が起こる割合と考えればよいでしょう。

abc→a×b×c

 

(1)も(2)も出た目の数を余りで分類することが第一歩です。

この手法は中学入試問題(聖光学院中学校2005年第1回算数第3問大阪星光学院中学校2021年算数第1問(5)甲陽学院中学校2024年算数2日目第5問など)でも使える手法なので、しっかりマスターしておく必要があります。

(2)の問題はいずれも余事象を考えると楽になります。

因みに、(2)の(ⅱ)の問題と同じような問題が過去に東大や京大などで出されています(東京大学2003年前期理科数学第5問、京都大学1992年前期文理共通数学第4問、京都大学2023年理系数学第3問)。

2003年の東大の問題を片づけておきましょう。
サイコロをn回振ったときの出た目の積が(1)5で割り切れる確率、(2)4で割り切れる確率、(3)20で割り切れない確率(実際の入試問題では、最後に対数と極限を絡めた計算問題がついていましたが、小学生には無理なのでカットします)。
(1)
全体の確率(1)から、5の倍数(5)が1回も出ない確率を引けばいいですね(余事象)。

5が1回も出ない確率は、n回とも5以外の目が出る場合だから、(5/6)nとなります。

したがって、求める確率は1-(5/6)nとなります。
(2)

全体の確率から、4の倍数(4)が1回も出ず、4以外の偶数(2、6)が1回以下しか出ない確率を引けばいいですね。

4の倍数(4)が1回も出ず、4以外の偶数(2、6)が1回以下しか出ないのは、(あ)n回とも奇数の目が出る場合と(い)1回だけ2か6の目が出て、残りの(n-1)回は奇数の目が出る場合になります。

(あ)の場合

この場合の確率は(3/6)n=(1/2)nとなります。

(い)の場合

この場合の確率は

  2/6×(3/6)n-1×n (2か6の目がn回のうちどの回で出るかでn通りあるから、n倍する必要がありますね。)

 =2×n/3×3/6×(3/6)n

 =2×n/3×(1/2)n

となります。

したがって、求める確率は

  1-{(1/2)n+2×n/3×(1/2)n

 =1-(2×n+3)/3×(1/2)n

となります。

(3)

(1)、(2)の計算結果ではなく、計算過程で求めた確率を利用します。

(1)の計算過程で求めた確率は出た目の積が5で割り切れない確率で、(2)の計算過程で求めた確率は出た目の積が4で割り切れない確率ですね。

出た目の積が20で割り切れない確率は、出た目の積が5で割り切れないか4で割り切れない確率で、これは

  出た目の積が5で割り切れない確率+出た目の積が4で割り切れない確率-出た目の積が5でも4でも割り切れない確率

となります(わかりにくければ、場合の数の問題と考えて、ヴェン図を思い浮かべればよいでしょう)。

出た目の積が5でも4でも割り切れないのは、(A)n回とも1か3の目が出る場合と(B)1回だけ2か6の目が出て、残りの(n-1)回は1か3の目が出る場合になります。

(A)の場合

この場合の確率は(2/6)n=(1/3)nとなります。

(B)の場合

この場合の確率は

  2/6×(2/6)n-1×n (2か6の目がn回のうちどの回で出るかでn通りあるから、n倍する必要がありますね。)

 =n×(1/3)n

となります。

したがって、求める確率は

  (5/6)n+(2×n+3)/3×(1/2)n-{(1/3)n+n×(1/3)n

 =(5/6)n+(2×n+3)/3×(1/2)n-(n+1)×(1/3)n

となります。

確率になっていて、しかも、nが登場するので面倒そうですが、場合の数の問題にして、nを具体的な数字にすれば普通の中学入試問題という感じです。

 

詳しくは、下記ページで。

 開成高等学校2019年数学第3問(問題)

 開成高等学校2019年数学第3問(解答・解説)

 

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