2019年のJMOの予選第5問は、中学入試にもよく出される倍数と余りの問題で、小学生でも解けます。
数学オリンピックの問題ではなく、ジュニア数学オリンピックの問題としても簡単な問題でしょう。
中学受験生なら、余り共通、不足共通、共通なし(バラバラ)の3パターンがあることはわかっているでしょう。
最難関中学校では、共通なしの問題で強引に余り共通や不足共通に持ち込むと楽になる問題が出されています。
実際、灘中学校などで2倍した数を考えれば、余り共通・不足共通に持ち込むことができる問題が出されています。
(灘中学校1993年算数1日目第7問)
ある本を読むのに、1日5ページずつ読むと4ページ残り、7ページずつ読むと5ページ残り、9ページずつ読むと6ページ残るという。この本は□ページである。ただし、この本は200ページ以下とする。
因みに、この問題は神戸女学院中学部の頻出問題の1つ(神戸女学院中学部1995年算数1日目第1問、神戸女学院中学部2005年算数第1問の(2)、神戸女学院中学部2024年算数第6問の(3)など)で、当方が作成した女学院対策演習問題に次のような問題があります。
7で割ると2余り、13で割ると5余り、19で割ると8余る数のうち、2番目に小さいものを求めなさい。
JMOの問題の方が数字が大きいですが、本質的なことは何も変わりません。
さて、JMOの問題を解いてみましょう。
「正の」というのは、小学生は無視して考えればいいでしょう。
97で割ると32余り、100で割ると33余り、103で割ると34余る整数を〇とします。
〇×3は97で割ると32×3=96余り、100で割ると33×3=99余り、103で割ると34×3=102余るから、〇×3+1は97でも100でも103でも割り切れる整数となります。
97、100、103の最大公約数は1だから、〇×3+1は97×100×103の倍数となります。
〇×3+1は3で割ると1余る数ですが、97、100、103はすべて3で割ると1余る数で、その積は3で割ると1余る数となります。
したがって、〇×3+1の最小のものは
97×100×103
=(100+3)×(100-3)×100 (和と差の積=2乗の差の利用)
=(10000-9)×100
=999100
となり、答えは
(999100-1)/3
=333033
となります。
今回取り上げた灘中の入試問題、女学院対策演習問題、JMOの問題の割る数と余りを並べてみると何か気付くことがあるのではないでしょうか?
(灘中の入試問題)
5 4
7 5
9 6
(女学院対策演習問題)
7 2
13 5
19 8
(JMOの問題)
97 32
100 33
103 34
なお、和と差の積が2乗の差となることについては、下の問題の解説を参照しましょう。
南山中学校女子部2024年算数第1問(4)(和と差の積=2乗の差の利用)
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