(問題1)
早稲田中学校2019年算数第1問(1)
5080/5207を最も簡単な分数にしなさい。
(解答・解説)
5080/5207が1に近い数で、1より127/5207小さい数であることに着目して、約分します。
11×11=121<127<144=12×12で、127は、11以下の素数2、3、5、7、11のいずれの数でも割り切れないから、素数となります。
127/5207が約分できるとしたら、127ということになります。
5207÷127=41だから、5080/5207は1より1/41小さい数となり、40/41に他ならないことになります。
上の解法は、ユークリッドの互除法の考え方を一切意識しなくてもできることです。
分数を習い始めた時に、例えば11/12と12/13の大小を比べる問題があり、その際、11/12は1まであと1/12(1より1/12小さい数)、12/13は1まであと1/13(1より1/13小さい数)で、1/12のほうが1/13より大きいから、11/12のほうが12/13より小さいとしたはずです。
この解法を応用しています。
(問題2)
慶應義塾高等学校2020年数学第1問(2)
3007/3201を既約分数に直すと、[ ]である。
(解答・解説)
一般に、2数を割り切る数は、その差も割り切ります。
このことを利用します。
3007と3201がともに同じ長さの線分(☆)の寄せ集めになっているから、3201と3007をともに割り切る数は、その差3201-3007=194も割り切ります(線分図を参照)。
194の約数が約分できる数の候補になります。
194を素因数分解すると、2×97となり、3007は2で割り切れないから、3007が97で割り切れることになります(3007が97で割り切れないと、約分できないことになり、既約分数に直すという言葉に反しますね)。
3007÷97=31で、3201は3007+2×97だから、これを97で割ると31+2=33となります。
したがって、答えは31/33となります。
やっていることは実質的には同じことです(頭の中で考えていることは違います)が、(問題1)の解法と同様にすることもできます。
3007/3201は1より194/3201小さい数ですね。
194を素因数分解すると2×97となります。
3201は明らかに2で割り切れませんね。
また、3201÷97=33だから、3007/3201は1より2/33小さい数となり、31/33に他ならないことになります。
(問題3)
横浜市立大学2017年医学部・国際総合科学部数学第1問(1)
148953/298767を約分して、既約分数にせよ。
(解答・解説)
一般に2数を割り切る数は、一方を何倍かした数と他方の差も割り切ります。
このことを利用します。
148953と298767をともに割り切る数は、298767と148953×2=297006の差298767-297906=861も割り切ります。
このことは次のような線分図をイメージ(148953と297906がともに同じ長さの線分(☆)を寄せ集めたイメージ)すれば明らかでしょう。
861の約数が約分できる数の候補となります。
3)861
7)287
41
1+4+8+9+5+3=30だから、148953は3で割り切れます(3の倍数判定法の利用)。
148+953=1001だから、148953は7で割り切れます(7の倍数判定法(灘中学校2019年算数2日目第1問の解答・解説を参照)の利用)。
論理的な理由ではありませんが、3で約分してさらに7で約分するだけの問題をわざわざ大学入試で問うはずがないと考えられる(小さい素数で順に割っていけば3と7の約分にはすぐに気づくからです)から、おそらく41で割り切れるだろうと予測できますね。
そこで、148953を861で割ってみます。
148953÷861=173で、298767は148953×2+861だから、これを861で割ると173×2+1=347となります。
したがって、答えは173/347となります。
ところで、39/91を約分すると3/7となりますが、39/91の逆数である91/39を約分すると当然3/7の逆数の7/3となりますね。
このことに着目して解いてみます。
298767/148953=2+861/148953(帯分数に直しただけです)となるから、861の約数が約分できる数の候補です。
あとは、上の解法と同じです。
早稲田中学校と慶應義塾高校の問題でも同様の解法が可能です。