Sea of Solitude(シー オブ ソリテュード) の感想(レビュー)です
かなりのネタバレを含む感想(レビュー)です
見るときに注意してください
---------キ-------リ-------ト-------リ---------
【PV】
【感想】
EAが EA Originals というインディーゲームの支援プログラムを打ち出し、いくつかのゲームが配信されました
この支援プログラムによって配信されたゲームは、Unravel や Fe など があります
そして、このゲームもそうです
PSストアで予約販売されていて、予約特典としてテーマがついていたので予約購入しました
雰囲気ゲームっぽい感じだけどアクション要素の強いゲームで、アクションアドベンチャーゲームっぽいです
先が気になる展開なのに、明るい世界をのんびり探索したいという相反する思いに悩まされるほど楽しいゲームです
グラフィック・音楽について
水没都市が舞台で、水が綺麗です
明るい世界と雷雨の世界があり、明るい世界が落ち着きます
反面、雷雨の世界は緊張感タップリです
おそらく弦楽四重奏 + ピアノのしっとりした曲が落ち着けていいです。安らぎです
ケイの鼻歌もいいです
しかし、怪物が出現する世界では恐い曲に変化します
《説明》
アクションアドベンチャーゲームです
≪操作≫
左スティック:移動
右スティック:カメラ
R2ボタン(長押し):穢れを取り除く、氷の壁を溶かす
L2ボタン:フレアを放つ
×ボタン:ジャンプ、ボートの乗り降り、シンクロ
右スティック:(シンクロした後に)光を動かす
○ボタン(長押し):はしごを滑り降りる、ムービースキップ
□ボタン(長押し):怪物を見る
△ボタン:インタラクト → ドアを開ける、瓶を拾う、カモメを追い払う など
1.穢れはすべての黒い帯が吸収されるまでR2ボタンを長押しする必要あり
2.シンクロ・インタラクトが必要なときは画面にボタンが表示される
≪基本≫
1.チャプター進行。途切れることなく進行する
(1) フレアを放つことで、隠されているモノを見つけることができる
a.フレアは壁を通り抜けることができない
b.次の目的地を示すナビとなる
c.泳いでいるときはフレアを使用できない
(2) 穢れを取り除くことで閉じ込められているモノを解放したり明るい世界へ変化する
a.穢れを取り除くと光のケイが解放されることがある
(a) 光のケイとシンクロでき、シンクロした後、光を怪物に向けて放つ
(3) クジラの怪物に追いつかれると食べられる
(4) その他の怪物の世界では水に入ると、たくさんの手によって水中に引きずり込まれる
(5) 明るい世界には雷雨の世界との境界線がある
(6) やり込み要素
a.瓶(39個)
b.カモメ(32羽)
2.明るい世界と雷雨の世界を探索する
(1) 明るい世界
a.怪物がいない
b.ボートで移動できる
(2) 雷雨の世界
a.クジラの怪物が泳いでいる。追いつかれると食べられる
b.ボートで移動できず、泳ぎながら建物を移動する
(3) 怪物の世界:クジラの怪物以外の怪物が登場する
a.水中に入ると手に引きずり込まれる
b.ボートで移動できる(怪物のいるエリアによる)
物語(考察っぽい)について
Sea of Solitude(孤独の海)というタイトルからわかるように「孤独」をテーマにした作品です
比喩的な表現を用いているため考察必須のゲームとなっています
「孤独」を表す英単語には、Loneliness と Solitude があります
同じ「孤独」でも意味は違います
Loneliness=孤独+寂しい(ネガティブ)
Solitude =孤独+楽しい(ポジティブ)
おそらく、私達がイメージしている孤独とは Loneliness のことだと思います
このゲームではポジティブな意味の Solitude を使っています
その意味はプレイしていくとわかるかと思います
このゲームをプレイするに辺り、ケイの感情の移り変わりを読み取っていけばいいかと思います
明るい世界が Solitude で、雷雨や真っ暗闇の世界が Loneliness なのかと推測しています
だから、怪物が真っ暗闇なのは寂しいなどのネガティブ(Loneliness)な気持ちを具現化した世界で、色を取り戻した姿がポジティブ(Solitude)な気持ちを具現化した世界なのかと思います
Solitudeだったケイは、鳥の怪物 など の怪物がLonelinessで苦しんでいることに気づいてあげることができませんでした
ケイは自分のことを優先していたため、大切な人から 孤独(Solitude)になっていました
しかし、この水没都市で大切な人達が「孤独で苦しんでいる」ことを知ります
さらに、ケイ自身も「孤独」であることに気づいてしまいます
自分の「孤独」を他者に依存することで無理矢理「孤独」を解消していました……依存というやつです
だから、怪物(大切な人)のかけらを奪うと取り返そうと追いかけてきます。それこそ壁をスルリと乗り越えたりする程必死に。独占…他の異性と話したりしたら嫉妬して怒るとかを表現しているのかもしれません
そういうことに大切な人が疲れてしまい、そのことに気づくことで結果的に孤独、つまり Loneliness に陥ります
つまり、ケイは「気づく」ことによって Solitude → Loneliness へと変化していきます
ちなみに、氷の世界はケイが依存していた相手がケイを拒絶する気持ちを具現化したエリアです
だから、氷を溶かしても一緒になることはありません。激しい拒絶です
また、家族が乗っている船に近づくことができないのは、ケイが孤独(Solitude)を貫いているからです
依存している相手がいるので一緒になることがないからです
ケイの分身がたくさん登場します
黄色いレインコートの女の子、クジラの怪物、貝に閉じ籠った怪物(シンクロで攻撃する怪物)、キラキラさん
これらはすべてケイの内面を描いているかと思います
貝に閉じ籠った怪物は、臆病者なケイ。シンクロで攻撃できるのはこのケイだけです
閉じ籠った心を開こうとしているかのようです
クジラの怪物は自分を否定するケイ。噛み殺す程「ケイ」を許せない。自分を殺すということは自分を否定することだと思います
黄色いレインコートの女の子はポジティブなケイです
水没都市の冒険を通して、自分には様々な姿があることを知り、それらをすべて受け入れていくことでケイ自身も成長していきます
「孤独」を通して、思春期の女の子が、家族や他者との関係を通じ自分探しをしながら成長していく物語です
ゲーム内容について
雰囲気ゲームのようで、しっかりとしたアクションゲームになっています
ゲームオーバーはなく、直前からリトライとなります
優しめ設定ではあるけれども簡単ではありません
タイミングを図りながら先に進むシーンが多かったです
たとえば、蒸気が吹き出しているビルで屋上に向かって上がって行くときにタイミングが重要になります
また、クジラの怪物に追いつかれないように泳ぐシーンがたくさんあるけど、これはクジラが追いつかれない所にいるときを見計らいながら泳いでいきます
クジラの怪物の方が速いので、泳ぐタイミングが重要です
泳いでいるときにクジラの怪物に追いつかれると食べられます
食べられるとき結構エグいです
骨をバキボキ噛み砕く音がしてヒィィ~ってなります
EA Originals のゲームは、雰囲気ゲームの「雰囲気」とアクションゲームを融合した作品を目指しているのかもしれません
Unravel は、雰囲気ゲームっぽいけど高難度のアクションゲームです
このゲームは、 Unravel よりは難しくないけど、タイミングを図りながら先に進むシーンが多いです
同じ世界なのに、明るい世界と暗い世界、そして怪物の世界で見え方が変わります
ずっと探索したくなる世界だけど、先が気になるので一周目は程々にしました
やり込み要素として、瓶集めとカモメを追い払うの二つがあります
瓶はケイの日記…ボトルメッセージです
取った場所は関係なく、続き物です
カモメは一周目では気づかなかったけど、二周目以降、あちこちでカモメが飛んでいることに気づきました
そして、二周目以降に追い払ったカモメはこの群れに合流していました
つまり、このカモメが一周目で解放したものかと思います
その他・まとめ
「孤独」をテーマにしているゲームではあるけど、英単語から意味を推測していくと面白いです
ケイ自身が気づいていなかった「孤独」に気づき、受け入れていく物語なのではないかと思います
家族を見つめ直し、何かに「依存」して現実逃避している自分を見つめ直し、自分に向き合っていく物語です
思っていたよりもボリュームがありました
考察好きにはたまらないゲームかと思います
また、アクションゲームとしても、よくできています
このゲームの世界をゆっくり探索するのも楽しいです……怪物のいない世界限定だけど………
お勧めです
【評価】
○:物語
○:グラフィック、音楽
○:じっくりと探索したくなる世界
×:タイミング重視なアクション要素が多い