寅さんから学んだ大切なこと㊾ | 千の風

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皆川一のオフィシャルブログ

寅さんから学んだ大切なこと㊾

フーテンの子寅こと 皆川一

 

わたしの恩師、フーテンの寅さんこと渥美清さんは、大手芸能事務所には所属せずに、個人事務所、「渥美清事務所」を渋谷区代官山に構え、お仕事をしていました。

 

当時、渥美清事務所の所属員は渥美さんとわたしの二人・・・唯一、留守番電話がわたしの同僚でした()。節税を考えれば個人事務所を法人化したり、スタッフを多く採用したりと方法は沢山ありますが、その様なことは一切せず、多額の税金を渥美さんは支払っていました。

 

ある日、渥美さんに「なぁ、ハジメ、お前の知り合いに税理士の先生はいないかい?」と聞かれた事がありました。当時、わたしがまだ17歳の高校2年生です。税理士の知り合いがいるはずもなく()・・・商売を営んでいた母親に相談をして、街の税理士さんを渥美清さんにご紹介しました。

 

その商店街の小さな店の税務相談しか経験のない税理士の先生は、天下の渥美清さんからの税務相談依頼に戸惑いしきりでした()

 

渥美さんに面談したら、いきなり税理士の先生が開口一番、「まずは節税の方法ですが」と切り出したら、渥美さんは微笑みながら「いえいえ、節税などは考えていませんよ。間違いなく、税金を納めたいので、そのチェックを先生にお願いしたいだけなのですが」と・・・()

 

税理士の先生は気が抜けた様で「あ、そうですか」と返事するのが精一杯でした()

 

まだ、17歳で節税という言葉もその意味もあまり解らなかったわたしでしたが、なんか渥美さんが損しているのではという感じだけは、理解できたので渥美さんに「無駄な税金は支払わない方が良いのではないのですか?」とお話しをしました。

 

しると、笑いながら渥美さんは「ハジメ、ご両親がやっている寿司屋は家賃を払ってお店を借りているのかい?」と聞かれたので「はい。そうです」と答えました。

 

すると渥美さんは「その家賃は無駄な支払いかい?」と・・・私が「いいえ、家賃を払わないと商売は出来ないです」とお答えすると、渥美さんはケラケラと笑いながら「税金もそれと同じよ。日本という店を借りて商売をさせて貰っているから、当然家賃は支払うのよ。但し、多く払い過ぎても、少なくてもお上に迷惑をかけるから先生に診てもらいたいんだよ」と・・・

 

あまりにも考える次元が違い、脱帽でした。何兆円も売上をあげても、合法とはいえ過剰な節税で法人税は一切支払わないと豪語している大企業の経営者に遭遇するたびに渥美さんの言葉を思い出します。

 

「価値ある商売(経営)とは、どれだけ人様のお役に立てるかに尽きるね」・・・世の株価に右往左往している経営陣や投資家に聞かせたいです。要は何のために、誰のために仕事をしているのかを明確にすることが最も大事だと経営者の端くれとして感じる今日この頃です。

 

次回は渥美流「必要とされる存在」についてお話させて頂きます。㊿へつづく・・・

 

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