寅さんから学んだ大切なこと㊵ | 千の風

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皆川一のオフィシャルブログ

寅さんから学んだ大切なこと㊵
フーテンの子寅こと 皆川一
わたしの恩師、フーテンの寅さんこと渥美清さんとは一緒に幾度となくお食事をさせて頂きました。決して豪華な料理ではなく、港区赤坂の片隅にある洋食屋さんや新橋のガード下の居酒屋さん、浅草の老舗のもつ煮込みのお店などでした。一緒に食べている時、渥美さんが「なぁ、ハジメ。ごはんは一粒も残しちゃいけないよ。しっかりと感謝をして頂くんだよ」と・・・
育ち盛りの17歳のわたしは質より量の時期で、感謝する暇もなくガツガツと食べていました(笑)・・・ふと気付くと、わたしのごはん茶碗の片隅にごはん粒がちらほら・・・そんな時に言われた言葉でした。若輩者のわたしにはごはんひと粒への感謝という気持ちがイマイチ解らず、少しくらいどうでもよいと・・・そんなわたしの反抗的な態度を見て、更に渥美さんは・・・
「いいか、ハジメ、まずは大きな田んぼを想像してごらん。そこには一家総出で田植えをしている仲の良い家族がいるんだね。横一列に並んで田植えが始まる。ひと株ひと株、丁寧に稲を植えていく。その稲がすくすくと育つ。そんな時に台風が来るんだね。嫌だね。暴風雨の中、家長の親父が田んぼを見に行く。強風に必死に耐える稲穂がそこには居るんだね。健気だね。可愛いね。そして、その試練を乗り越え、いよいよ秋の収穫、稲刈りが始める。そして、長い道のりを経て、おいしく食べて貰うという天命をもって米粒はここまで来たんだね。もっと言うなら、この米粒は何百年、何千年前からその天命を次の世代に継承しながらここに来たんだ。さぁ、ハジメ、それでも残せるものなら残してみろっていうんだい!」と・・・ほぼ最後は脅しの世界でした(笑)
渥美さんは、どんなものにも物語があり、そこに至るまでの道筋(ストーリー)があるんだと教えてくれました。その背景や道筋が解れば、決して無駄には出来ないし、感謝の気持ちで接することが大切なのだと教えてくれました。
「誰にでも掛け替えのない物語がある。すべての人が「大河ドラマ」になる様な人生を生きてきているんだ」と・・・この渥美さんの言葉、当時、何の取り柄もなく、貧乏なわたしの胸に強く刺さり、やる気、その気、本気のスイッチが入りました。感謝です。
次回は渥美流「無人島論」についてお話させて頂きます。㊶へつづく・・・
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