野球の投球動作の解析例であるが、興味深いデータがある。
元ネタは、宮西智久さん(仙台大学体育学部)の
「野球の投球スナップのバイオメカニクス」 バイオメカニクス研究 4(2) 2000
だ。
前腕の回内・回外
from メジャーの打法
http://www.geocities.jp/tokyomarlin/pcolumn2.html#2
ここで、最初のグラフ:各関節の角速度に注目する。
①手首の尺屈: リリース直前に+から0、そしてマイナスへ。
逆に、掌屈/背屈は、急激に背屈から掌屈になる。
②前腕の回内: リリース直前に回内速度のピークを迎えるが、
リリース時には回内速度が0からマイナスである。
③上腕の内旋: リリース後も、内旋が少しの間(10ms位)加速している。
---
これによると、リリース時には、前腕の回内による力を加えていないことが分かる。
(但し、それまでの回内による回転運動の慣性は残っている)
投球動作で、小指側から腕を振っていって、前腕を回内&伸展、同時に手首の
スナップを効かす、という動きが、手首に関して言えば、トウ屈→尺屈と
背屈→掌屈の2つの動きから成り立っているとは気がつかなかった。
そういえば、FYBのサーブ動作の説明で、インパクトに向かって行くときに、
前腕を回内する動きと、手首を起こしていく動きを同時にするんだ、という解説があったが、あの「手首を起こしていく動き」がその”トウ屈→尺屈”の動きだと気がついた。
もちろん、背屈も混じった手首の状態での動きだが。
アスリート解体新書でバドミントン・佐藤翔治選手が、上半身はだかの状態で
ジャンピングスマッシュを打っていたのを想い出してその動画で確認してみると、
フォワードスイングの時に、上腕が止まって前腕が振られていっているが、
その時に上腕はかなり内旋していっているのが分かる。
しかし、その時前腕がどの位回内しているかは、見た目ではよく分からない。
(KN:肘がほぼ伸びた状態では、内旋と回内の区別はうまく測定できないかも)
宮西智久さんの解釈は、一部不評のものがあるようだが、測定データそのものは
充分に利用できると思うので、テニスのサーブへの参考に充分使えると思う。