「羽生名人、おかしいぞ」をテーマに、竜王戦第7局を振り返ってみた。
45手目▲6四歩 の局面。
この手で、羽生名人が盛り返すことになった一手。
51手目▲9二と の局面。
勝っていれば、これが妙手とされただろう、幻の妙手。
一手パスのようだが、▲6四歩がらみでそうはなっていない。
62手目▽5一飛 の局面。
ここは、飛車先を止める意味で、5二金か、6四角か、5三あたりに歩打ちでは
なかったか。自玉の安全度がかなり違う。
▲2三歩、で鮮やかに決めにいったつもりが、▽4二金としつこく粘られて、
意外に後続の有効な手があまりない。
有利なときは、鮮やかな手順よりも、局面を単純化する方が明快な勝ち方。
たとえそれが、筋が悪いような形であっても、優位さを拡大できるのであれば。
鮮やかで効果がありそうな”誘惑”に対しては、「ビミョー」な時が多いので、
それだけの読みと、しっかりした技術が必要。冷静に選択できるようにしたい。
64手目▽4二金 の局面。
攻め合いになるが、ここでも6四角があったと思う。
実際に指された▲6二金は、次に▽6五香と指されて歩を打たされ、
歩切れとなった。後手の飛車先がずっと通っているのが恐い。
80手目▽同角 の局面。
ここで次に▲5四銀成では、一手パスに近く甘いのでは?
次の▽3五角(から角交換になる!)を見落としていたのだろう。
やはり4八飛と、金をとって明快な勝ち方を選びたい。
94手目▽6四歩 の局面。
これは渡辺竜王の緩手。▽7六銀なら明快に勝っていた。
以下、参考までに羽生名人の勝ちとなるチャンスを示す。
106手目▽5五歩 の局面。
羽生名人にはまだチャンスがあった。
ここで4八飛と金をとれば、詰めろであり、かつ飛車が(取られるまで)受けに
効いているので、紛れが少ない。
▲2四飛で決めにいったのだろうが、そうでもなかった。(実際は、微妙!)
108手目▽6四歩 の局面。
羽生名人、最後のチャンス。
7五玉と逃げていれば、たぶん勝っていた。(即詰みは無い)
110手目▽4四銀打 の局面。
この▽4四銀打がはいって、羽生名人の攻め駒がほとんど一掃されてしまった。
そうなるのが予想されるなら、1つ前の手で7五玉をもう少し検討
すべきではなかったか。
今回の番勝負、そして直近の深浦王位との番勝負を見て、
羽生名人は少し大局観と読みと感覚のバランスを欠いているのではないか
という印象だ。「読み」がときどき甘かったり、抜けている。