もっともっと複雑な状況・長い歴史があるのだが、自分が理解した範囲で重要な部分を伝える。
日本の報道機関はほとんど伝えない、いや逆にロシアがグルジアに一方的に侵攻したと勘違いさせる偏った内容しか伝えてないことに憤りを感じる。(毎日新聞が頑張って伝えてくれているのが救いだ!)
1. 南オセチアの独立をめぐる紛争は90年末に発生。独立派勢力とグルジア軍の内戦にロシアが介入し、92年の和平合意でロシア軍、グルジア軍、南オセチア独立派勢力の3者が500人ずつ平和維持軍として駐留することになった。
2.ロシアはもう何年も前から、グルジアをわざと挑発し続けていた。グルジアからの分離独立を求めるアブハジアや南オセチアを支援し、グルジアに対して禁輸措置をとっていたのはロシアの方だ。
3.グルジア軍は、分離独立を求める南オセチア自治州の州都へ戦車で進攻した。独立派を支援するロシアは、現地に駐留する平和維持軍の増援部隊を派遣し、事実上の軍事介入を行った。両国軍は交戦状態に入った。
今回最初に南オセチア自治州の州都ツヒンバリを攻撃したのもグルジア側の平和維持軍で、これに反撃したのも、ロシア側の平和維持軍。ロシアの軍事介入は「ロシア平和維持軍の増強」名目だった。
(新米傀儡政権のグルジアの方が先に攻撃した。)
表向きは民族独立を理由にしているが、それよりも
・親欧米的なグルジアのNATO加盟 (ロシアとアメリカ・EU連合の覇権争い)
・石油利権、資源争奪
が紛争の原因のようだ。
元記事1=南オセチア衝突:露「平和維持」で介入 軍増強、実態は独立派保護
(毎日新聞 2008年8月12日 東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080812ddm007030123000c.html
【モスクワ大木俊治】グルジアからの分離・独立を求める南オセチア自治州に進攻したグルジア軍に対するロシア軍の反撃について、ロシア国防省は「軍事介入ではなく平和維持活動の一環」と主張し、正当性を訴えている。その根拠は南オセチアに駐留するロシア軍部隊が「平和維持軍」という名目で独立派政府支配地域の住民を保護していたためだ。
◇グルジア「侵略者」と批判
南オセチアの独立をめぐる紛争は90年末に発生。独立派勢力とグルジア軍の内戦にロシアが介入し、92年の和平合意でロシア軍、グルジア軍、南オセチア独立派勢力の3者が500人ずつ平和維持軍として駐留することになった。
しかし、実態はロシア軍が独立派支配地域の前線を、グルジア軍がグルジア支配地域の前線をそれぞれ防護する形で展開し、相対していた。
今回最初に州都ツヒンバリを攻撃したのもグルジア側の平和維持軍で、これに反撃したのも、ロシア側の平和維持軍。ロシアの軍事介入は「ロシア平和維持軍の増強」名目だった。
一方、南オセチアと同じくグルジア軍との内戦を経て独立状態を勝ち取ったアブハジア自治共和国にも、94年の停戦合意で「独立国家共同体(CIS)平和維持軍」の駐留が決められた。
ただロシア以外の国は、どこも部隊を派遣せず、実態はすべてロシア軍。5月に境界地域で緊張が高まった際には、それまで約2000人だった兵員が3000人に増強された。
両地域ではこれまでも、グルジア側と独立派勢力との散発的な衝突が続き、グルジア軍が「失地回復」のため進攻したこともある。ほとんどはロシア軍の保護を受けた独立派が押し返してきた。
グルジアのサーカシビリ政権は04年の発足以来、国連などの場でグルジア内で展開するロシア平和維持軍を「国家主権を侵害する侵略者」と呼び、北大西洋条約機構(NATO)など欧米主導の「真の平和維持軍」に交代させるべきだと訴えてきた。
だが、いずれの地域でも、ロシアの手厚い支援を受けてきた独立派政府は「ロシア軍が撤退するなら我々が立ち上がる」(アブハジア独立派政府のバガプシ大統領)などと強硬に反対してきた経緯がある。