いつも月曜日に書いている雇用統計の分析を、今回はがんばって翌日に上げてみる。
ただし、ここはロイターやブルームバーグに出ているような表面的な分析ぐらいはちゃんと頭に入っている方々のために書いているので、日経新聞レベルで満足できる人は他のサイトへどうぞ。
で。
とにかく、強い。
まず、家計調査。
失業者が、278.8万人(JULの約2倍)も減少。
JULまで職探しを諦めていたけれどAUGになって労働市場に復活してきた人が 78.3万人。
労働年齢人口の自然増・社会増が 18.5万人いるけど、以上全部を飲み込んで、合計 375.6万人が職に就くことができた。
(このあたりは事業者調査の 137.1万人増だけを鵜呑みにしていたんじゃあ見えてこない)
アメリカの失業者数は昨年末比、ピークのAPRには 1,732万人も増えていたけれど、すでにその過半数の 953万人は復職できている。
労働参加率もJULの 61.400% から 61.728% まで急回復。
失業率は単純計算では 10.220% から 8.425% への改善ということになるけれど、労働参加率上昇による押上分を修正すると 7.935%まで下がっていることになる。
リーマンショックの時にオバマ政権下で 10%まで上がって失業率が 8%を切るのに約3年要したことをことと比較すれば、この動きがいかに驚異的なものかよくわかる。
ちょっと気になるのは、エスニシティ別の失業率。
これは永らく、アフリカ系 > ラティーノ > 白人 > アジア系 というのが定着していたもの。
それが今は、アフリカ系 > アジア系 > ラティーノ > 白人 となり、アジア系の序列が急激に悪化していること。
これが知的労働のニーズ低下を表しているとしたら、将来大きな問題に跳ね返ってくるかもしれない。
時を戻そう。
次に、事業者調査。
こっちの統計では雇用者数が 137.1万人増えて 14,091.4万人。
これは、1年的比べて 6.8%ぐらい、働く人が減っていることを意味する。
その一方で、平均週給は 1,019.66ドルまで上昇し、1年前に比べて 5.260%も増加している。(トランプ政権下コロナ前の平均は2.9%台)
なので、雇用者総週給で計算すると、前年同月比でわずか 1.874%しか減っていない。
もちろんこの程度の減少でも経済に悪影響はあるが、GDPの7割を占める個人消費に壊滅的なダメージを与えるかといえば、それほどの数字でもないということができる。
これは、かなり心強いデータ。
常々言っているように、アメリカの雇用統計は、単月で何かを判断するにはあまりに信頼度が低すぎる。
ましてやこのコロナ禍、「季節調整」がまったくアテにならないわけで、AUGの数字がどうだったからといって、一喜一憂するべきものでもない。
ただ。
たったひとつ確かなことがあるとするならば「雇用は強い」。