UAEとの国交正常化というのは、あくまでも目的ではなく手段。
目的は、UAEのメディアなんかがトップに取り上げているように、イスラエルによるヨルダン川西岸併合の凍結。
(以下、普段あまり国際ニュースに触れる機会が多くとれない読者向け)
イスラエルは今年3回も選挙をやったけど、その都度ネタニヤフはヨルダン川西岸(≒パレスチナ、ガザの問題はまたいずれ)の併合を公約に掲げて票を獲得してきたけれど、ほんとはそんなこと、したくない。
クシュナーにはやめとけって言われてるし、連立相手のガンツにも反対されてるし、やったらイラン支援のハマス(とレバノン領内のヒズボラ)を本気で怒らせるし、サウジからもさすがに融和的態度では接してもらえなくなる。
かと言って、やらなかったら国内世論の収集がつかなくなる。
やめるにはやめるなりの、大義が必要だった。
とりあえず7月1日に予定していた併合宣言は「コロナのせい」で延期したけど、いつまでもごまかし切れるもんじゃない。
そこに合の手を差し伸べたのが、トランプ。
西岸併合凍結を条件にUAEとの橋渡しをしてやってもいいよ、と。
これこそ、渡りに船。
ネタニヤフは、「大統領選で苦戦してるトランプに外交政策のポイントを稼がせてやるために、しょうがないからUAEと和解して、まあ条件だって言うから、西岸併合凍結を飲んでやった」と言える。
トランプは、イスラエルとアラブの緊張状態が緩和すれば、彼の政権の最重要政策である海外派兵縮小がまた一段と容易になる。
UAEは、ってか脱石油を本気で模索しているアブダビやドバイは、イスラエルのテクノロジーや資本へのアクセスを独占的に得ることになり、また、サウジやオマーン、バーレーンへの影響力を拡大することができる。
三方良し。(意味が違うけど)
ほぼほぼ、手放しに喜んでいいんじゃないかな。