#3041 柿本 | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む



柿本人麻呂は、なんやかや、ミステリアスな人物であるように描かれる。

小倉百人一首でもこの歌は第3番、天皇以外では最初に登場するのだから、素性卑しからざる人物に違いない。

にもかかわらず、生没年すら定かではない。

隣の第2番の持統天皇の愛人説とか、第5番の猿丸大夫と同一人物であるとか、さんざんいろんなこと言われてる。

でも、まあ、この歌は、シンプルに秋の夜長の寂しさを詠ったものってことでいいんだろうね。

何が長いって、上の句全部が意味的に無意味に長い。

これ、歌じゃなかったら、いらない部分だもんな。

ただ、山鳥をダシにしてることで、今宵を共に過ごせない女子との関係が窺い知れる。

山鳥の夫婦が谷を隔てて別々に寝るって話に引っ掛けてるわけだから、人麻呂とその女子は両想い。

片想いでは、山鳥にならない。

あるいは、この恋は不倫とかではない。

その女子に旦那がいたりしたら、やっぱり山鳥の喩えではおかしくなってしまう。

純粋な恋の、純粋な歌なんだね。