「このままじゃ一生セックスできない!」という、若者たちの危機感。
これがムバラク王朝を崩壊に追い込んだ民衆革命の原動力だったというのが、日本の各SNS界ではほぼコンセンサスになっている。
青年グループと軍エリートのつばぜり合いとか、イスラエルを見捨てることに決めたアメリカの陰謀だとか、そんなものは関係ないだろう、と。
ましてやFacebookとかTwitterとか、バカも休み休み言え、と。
いっぱしの経済力を身につけなければ絶対に結婚できないエジプト(あるいは、アラブ全般)で、雇用情勢が悪化し、食糧価格も高騰している。
平均年齢25歳のエジプトの男たちは、ほぼ結婚できないと絶望的な気持ちになっている。
かといって、婚外の性交渉が厳しく制限されているエジプトでは、その欲求不満のはけ口さえもない。
性交渉どころか、風俗やエロビさえもない。
その欲求不満がこのタイミングで大爆発したというわけだ。
これ、意外とだいじ。
なぜなら。
民衆革命の要因次第で、チュニジア・エジプトからの流れがどこまで拡大するかというのが読めるから。
たとえば、同じアラブ圏で国民の政治的自由が制限されているような国でも、カタールやUAE各首長国のように国民が裕福で結婚できる国には、このイスラム革命は伝播しない。
あるいは、非イスラム圏でも生活の困窮から同様の民衆暴動が懸念されている南欧諸国でも、そういった心配は無用だということがわかる。(ギリシャなんて、世界一セックスしてる国民だし)
逆に気になるのが、中国。
「このイスラム民衆革命は最終的には中国にまで広がる」という説に初めて出くわした時には、僕は正直、ただのお調子者の煽りだと想った。
だけど、考えてみると、ちょっと怖い。
一人っ子政策の影響で、90年代生まれの中国人は、男女比率が110:100以上になっているという。
男が、とにかく余る。
分母がとにかくでかいから、1割たって何千万人単位で余る。
彼らが、「このままじゃ一生セックスできない!」と暴れ始めたら、はんぱなことでは済まない気もする。
怖いでしょ?
そうした中で、世界一安心なのは、日本ってことになる。
何ってたって、夫婦でも週一平均やらないぐらい、もともとセックスに対する欲求そのものがない。
ありもしない欲求が、爆発することはありえないもんね。
たしかに、10代から20代ぐらいの男性には、日本人だって性欲のかたまり状態になっているけど、発散するツールもかなり幅広くラインナップされている。
その意味では、エロマンガを規制するっていうのは、よろしくない。
直接の被害者もなく、圧倒的に安い値段で提供されているオールタナティブ・ツールなんだから。
性欲を抑圧された男たちの爆発は、ほんとに怖いよ。