#2666 地産 | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

フードマイレージ愛好家や自給率原理主義者の皆さんがよく使う言葉に「地産地消」というのがある。

この「地産地消」、けっして「地元で採れたものを地元で消費するようにしよう」とか、「消費(買い物)する時にはできるだけ地元の産品を選ぶようにしよう」とかという意味の言葉ではない。

この言葉が使われはじめたのは、1980年代前半。

バブル前でありプラザ合意前でもあり、わずか30年前とは想えないほど日本の農村地域の食生活は多様性を欠いていた。

特に米作地域では、極度に米飯+味噌汁+漬物に偏重した食生活が根強く残存していた。

そのために、カルシウムやタンパク質が不足したり、塩分の摂取が過剰になったりで、そのことが高血圧や脳卒中多発の原因ともなっていた。

手頃な改善策としては他地域からいろいろな食材を買ってくるということなんだろうけど、当時の農村にはそこまでエンゲル係数を高めるだけの余裕がなかった。

そこで、肉や魚はともかくも、野菜ぐらいは少々ムリをして(労働時間が増えたり、米作を減らしたり)でも、自分たちの地域で栽培しようという運動が盛んになった。

つまり「地元で消費するものは地元で生産しよう」というのが「地産地消」の考え方。

生産ありきの消費政策ではなく、消費ありきの生産政策。

別の表現をするなら、「野菜を増産し、減反政策を進めよう」という農業政策の一貫としての運動でもある。

「適地適作」などという発想とも、真っ向から反する。

僕なんかは、それぞれの地域の地元で採れたものを肴に、これまた地元の酒を合わせるのが最高に美味いと想っているクチなので、「地産地消」を謳ったような居酒屋に出くわすと、なんだかなあ、という気分になってしまう。

まあ、たかだか言葉なんてものに、そこまでこだわることもないんだけどね。