#161 FRENCH | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

フレンチレストランを評価することに、まったく自信がなくなってしまった。

レベルの高低はともかく、注目度だけは間違いなく今の東京では一番の『Les Creations de NARISAWA』に行ってきた。


予約はぎっしり一杯らしいのだが、キャンセル待ちでつっこんでもらえた。

『La Napoule』時代は行きたい行きたいと想いつつも機会がなく、ようやく念願かなったという感じだ。

ソニーCEの中庭みたいなロケーションにあり、建物の外観もまるでソニーCEの一部であるかのような近代的な造りだ。


内装もかなりシンプルに仕上げており、フレンチというよりも、『Oregon』や『Oak Door』を小じんまりさせたようなイメージに近い。

料理にも期待が高まったが、正直、愕然とした。


冷前菜のシーフードのアソートにも、メインのエゾ鹿のステーキにも、ソースにはふんだんにフルーツが使われていた。


以前『キノシタ』の感想にも書いたが、流行なのかどうかは知らないが、成人男子の食事にフルーツの甘酸っぱさが幅を利かせるのはどうもいただけない。


こんな味付をしてしまっては、せっかくの食材がすべてブチ壊しだ。

メインの前に出たブロッコリのパスタは唸るほど美味かったのでシェフの腕が相当なものであることだけは間違いないのだが、フレンチを「パスタが美味い」と誉めるわけにもいくまい。

この日記帳で酷評してやろうと気負い立って店を後にしたのだが、そんなプロパンガスとは裏腹に、愛妻はすこぶる上機嫌。


「今まで連れてってもらったフレンチの中でもトップクラス」なんだそうだ。


愛妻とプロパンガスはもともと味の好みがかなり近いのだが、今回ばかりは評価が完全にわかれた。


フルーツのソースがとても良かったのだそうだが、それはプロパンガスにはまったく理解できない。

あまりこういう店ばかりになると、フレンチレストランの評価ができなくなる。


というより、フレンチなんか食べなくなってしまう。