「ふるさと納税」は人気投票の系譜である

常態的収入ではなく

一過性のボーナス的意味合いを持つ

増減があり

無くなる可能性もあるということである

 

本来であれば移住給付金や保育料無償などの

通年予算に編纂すべき税収ではないはずだが・・・

「ふるさと納税」の在り様を理解できていない様なので

デメリット全開で予算編成すれば

将来的に人口減を超加速させる恐れはある

 

私的には

住みやすい街作りのため

都市計画や

インフラ投資(幹線道路整備など)が無難なところかと・・・

 

ふるさと納税「トップランナー」異変 都市部の寄付額増、構図も変化

9/15(日) 20:19配信

 

 2023年度に寄付額が全国で1兆円を超えたふるさと納税で、寄付額が2年連続5度目の日本一となった宮崎県都城市が曲がり角を迎えている。返礼品を肉と焼酎に特化する戦略で右肩上がりを続けてきた寄付額が、本格参入後初めて減少に転じた。制度で税の流出が続く都市部の巻き返しなどが背景にあり、人気自治体に寄付が集中する構図も変化しつつある。

 

 「これまではトップグループに(寄付が)集まっていたが、今はこちらが伸び悩んでいる」。23年度のふるさと納税額が公表された数日後にあった8月の定例記者会見で、都城市の池田宜永(たかひさ)市長は寄付額が頭打ちになりつつあるとの認識を示した。

 宮崎県の南西に位置する人口約16万人の都城市は、肉用牛と豚の産出額で日本一を誇り、国内有数の焼酎メーカー「霧島酒造」が本拠を構える。14年度に本格参入したふるさと納税では自慢の肉と焼酎を返礼品として前面に押し出し、寄付額を一気に伸ばした。14年度に自治体別寄付額で全国9位(寄付額5億円)になると、翌15年度には一気に首位に上り詰めた。

 しかし、23年度はこれまでと様相が違った。全国の寄付額が1兆1175億円で前年度比2割増だったにもかかわらず、194億円を集めた都城市では前年度から約2億円減ったのだ。「県産」としていた返礼品の鶏肉が海外産だったことが23年11月に発覚し、一部仲介サイトがすべての寄付の受け付けを一時停止したことも影響したとみられるが、自治体間の競争の激化が大きな要因とみられる。池田市長も「多くの自治体に(寄付の)裾野が広がっている」と分析する。

 対照的に寄付額を伸ばしつつあるのが都市部だ。拡大する税の流出を止めるため、寄付獲得に本腰を入れ始めている。23年度のトップ10には、7位に寄付額が前年度比85%増の名古屋市(117億円)、10位に同5%増の京都市(100億円)が名を連ねた。

 21年度に本格参入した名古屋市は、23年度は美容機器メーカー「MTG」のトレーニング機器や「愛知ドビー」が展開する「バーミキュラ」ブランドの調理器具など、企業が集積する都市ならではの製品が人気を集めた。ただ、ふるさと納税による市民税の控除額は24年度が全国2位の177億円で、市の担当者は「経費を考えると、流出額にはまだまだ及ばない」と更なる寄付の積み増しを狙う。

 このほか、23年度に初めて返礼品を導入した東京都新宿区は、JR新宿駅の一日駅長ができる体験型の返礼品などを打ち出し、前年度比2億8000万円増の4億6000万円を集めた。横浜市はレストラン食事券や、銘菓「横濱ハーバー」を追加するなどラインアップを拡充している。

 寄付が一部の自治体に集中する構図にも変化が生じている。14年度の上位10自治体の合計寄付額の割合は全体(389億円)の21%を占め、18年度には30%にまで上昇したが、下落傾向が続き、23年度は13%となった。19年度には、返礼品を「地場産品で寄付額の3割以下」に限定するルールが厳格化され、有力な特産品を持つ上位グループに有利とみられたが、分散化の流れが継続している。

 米不足や物価高騰の影響も出ている。ふるさと納税サイト「さとふる」で1~6月に検索されたキーワードランキングでは、1、5、7位が米に関連する一方、トイレットペーパーも2位にランクイン。大幅に値上げされたオリーブオイルなどへの関心も高かった。紙製品を返礼品とする埼玉県草加市は、23年度の寄付額が、前年度の倍を超える5億8000万円に伸びた。

 トップランナーの都城市は環境の変化にどう適応していくのか。市では、肉と焼酎に特化する一方、それ以外の特産品を扱う事業者とも一体となって、新規の寄付者の掘り起こしを進める。市の担当者は「『ふるさと納税といえば都城の肉と焼酎』というブランディングをしっかりしてきたからこそ今の地位がある。そうした部分を大事にしたうえで、市内に工場があるゴルフクラブメーカーが新モデルを出すタイミングでプロモーションを進めるなど、あらゆる手を使って底上げしていきたい」と話す。【下薗和仁】

 ◇膨張続けるふるさと納税、リスクも

 自治体が貴重な自主財源として、膨張を続けるふるさと納税への依存を強める一方、制度変更が相次ぐなか、将来的に安定した財源となるかは見通せず浮き沈みのリスクもはらむ。

 都城市は潤沢な寄付金を原資に2023年度以降、大胆な人口減少対策を実施。移住した家族に対し手厚い給付金(24年度は最大500万円)を支払ったり、保育料を無料化したりする移住促進策を進め、今年4月時点の推計人口は13年ぶりに増加に転じた。

 ただ、寄付が減れば財政は窮地に陥る可能性もある。23年度に全国2位の192億円を集めた北海道紋別市は、寄付の依存度が高い財政を「国の政策転換に影響を受けやすい構造」と捉え、一部を積み立てに回す。

 21年度に109億円を集めるなど寄付額が全国上位の常連だった宮崎県都農(つの)町は、返礼品の調達費が基準を超えたとして、22年1月に総務省から2年間の指定取り消しを受けた。結果、22~24年度の一般会計当初予算は21年度の約5~6割に縮小。積み立てた寄付金を3年間で約30億円取り崩し、新規事業を抑制するなどした。

 制度には24年4月に復帰したが、担当者は「金額ありきではなく、地場産業の育成に取り組み、応援してもらえるように発信していきたい」と再起を図る。

 滋賀大の横山幸司教授(地方自治論)は「ふるさと納税は自治体の課題を理解してもらい、解決に向けた政策の実現のために寄付をしてもらうのが本来の制度の姿だ。返礼品競争に走るのではなく、寄付が何のために必要で、何に使い、どのような成果が出たのか透明性を高めることが、結果的に安定した寄付につながるのではないか」と話す。【中里顕】

 

最終更新:9/16(月) 13:28
毎日新聞