投資詐欺の記事がよく出る

 

手口や注意喚起は行われている

 

何故か被害者のプロファイリングだけが存在しない

無くても別に問題は無いのかもしれない

ただ、傾向と対策を考えるためには

被害者の実態を統計でデータ化しなければ

対応自体は後手を踏んだままだと思うのですけどねぇ

 

自分は引っかからないという自信があった

自信を持つに至る何らかの裏付けがあるはず

そこを解析しないと被害は減らないんじゃない

 

森永卓郎&康平親子をかたった投資詐欺で約9億円被害…康平氏自ら解説「手口を知っていても引っかかる」ワケ

8:17 配信

 

今年に入って著名人に成りすました投資詐欺が増えている。経済アナリストの森永康平さんは「今のところ、親父をかたった詐欺で6億円、僕をかたったもので3億円という大きな被害が出ている。被害者の方に話を聞いたところ、自分は引っかからないという自信があった人が引っかかっていることがわかった」という――。

■「投資詐欺」激増の背景

 投資に興味を持つ人や実際に始める人が増えています。それと同時に投資詐欺も増え、特に今年に入ってからは激増しています。詐欺師は世の中の空気を読むことに長けているので、新NISAが始まり投資人気が高まっている今の状況を「稼ぎどき」と考えているのだろうと思います。

 特に新NISAを機に投資を始めた投資初心者は、詐欺師にとっては格好の標的です。今いちばん流行っているのは、インスタやFacebookに著名人の顔が入った広告を載せ、クリックした人をLINEのチャットグループに誘導する手口。チャットグループにはすでに100~200人が会員として参加しているので、本物だと信じ込んでしまう人も多いのですが、実はそれらはほぼすべてがサクラです。

 そこでは、著名人を名乗るアカウントが何かの銘柄を買うように勧め、サクラが「先生の指示の通りにしたら資産が倍になりました!」と持ち上げる、といったやりとりが繰り返されます。おかしいなと思っても、「本当に本人ですか?」などと聞くとサクラが「先生は無償で教えてくださっているのに失礼だろ!」とキレるんですよ。

■「あなたには見込みがある」と1対1のやりとりへ

 さらに最近は、その著名人を名乗るアカウントが、本人であると示すために運転免許証の画像をアップすることも。もちろん偽物なのですが、とてもきれいに偽造されているので素人目には本物にしか見えません。また、その著名人の声をAIに学習させてつくった、偽のボイスメッセージを送ってくる場合もあります。

 詐欺師はこうした偽の証拠で本人だと信じ込ませた後、「あなたは見込みがあるから」とLINE上での1対1のやりとりに持ち込みます。そこで、絶対にもうかる案件があるからお金を振り込むようにと口座を指定され、振り込んだら連絡がとれなくなる──。今、この手口にだまされる人がものすごく多いんです。

■森永親子をかたった詐欺で約9億円の被害

 この手口については、僕は被害にあった方々から直接話を聞きました。なぜかというと、僕も詐欺師の広告やアカウントに顔と名前を使われているからです。そのため、SNSなどを通して毎日のように「本物ですか」といった問い合わせがあり、ときには被害にあってしまったという事後報告も寄せられます。

 今のところ、僕をかたった手口ではおよそ3億円、親父(経済アナリストの森永卓郎氏)をかたった手口では6億円もの被害が出てしまっています。親子でこれほどの詐欺に利用されるなんて、本当に腹立たしいです。

 僕が警察に訴えても、こちらの被害は肖像権の侵害だけなのでなかなか動いてもらえません。SNS側も、暴力や性描写などが含まれる広告はAI審査ではじいているようですが、この手口だと著名人の顔写真が載っているだけなのではじくことができないのです。

 僕はSNS側にも被害を申請しましたが、今のところ動いてくれる様子はなく、スルーされている状態です。今後はSNS側も厳しい対応をとらざるを得ないように、法改正などが必要だろうと思います。

■「引っかかるはずがない」と思っていた人が引っかかっている

 皆さんは、普通はそんな手口に引っかからないだろうと思うでしょう。でも、被害者の方に話を聞くと、多くの人が「そういう詐欺があることは知っているし、ニュースで見たときこんなのに引っかかるやつはバカだなと思った」というんです。

 じゃあなぜそれに引っかかったんですかと聞くと「今回は本当だと思った」と。自分だけは違うという、いわゆる正常性バイアスが働くのかもしれません。被害にあった方々が皆さんそう言うので、手口を知っていれば引っかからないというわけではないんだなと実感しています。

 こうした詐欺に引っかからないようにするには、LINEグループに誘われてもすぐ退会すればいいだけです。一歩進んでしまってLINE上で1対1に持ち込まれても、結局はお金を振り込まなければいいので、手を引くチャンスはいくらでもあります。

 これがリアルで会ってしまって、しかも相手がいかつい感じの人だったりすると断れないかもしれませんが、この手口はLINEでやりとりするだけ。スマホの中だけでの話ですから、疑問を感じたらすぐ退会するなりブロックするなりして手を引けばいいんです。

■YouTubeで詐欺師とのやりとりを公開中

 もうひとつ最近増えてきたのが、SMSで「未納料金があります」といったメッセージを送る手口です。折り返し電話をすると脅されて、怖くてお金を振り込んでしまうというケースですね。これも折り返さない、振り込まないようにしてください。

 今、僕はYouTube番組を2つやっていて、そのうちの「森永康平のリアル経済学」では実際の詐欺師との会話を公開しています。だまされたふりをして詐欺師に会いにいき、そこで録音した内容を全部、誰にでも聴いてもらえるようにしたいと思って始めました。

 詐欺に気をつけましょうと伝える活動は以前からしていたのですが、あるとき、これって意味ないなと気づいたんです。そもそも詐欺にあいたいと思っている人なんていないのに、急に気をつけましょうといわれても「そりゃそうだろう」としか思えないですよね。

 多くの人が自分ごとだとは思えないわけですから、気をつけるように言うだけでは引っかかる人を減らせない。だったら実際の手口を全部公開しておいて、「もしかしてこれ詐欺かな?」と思って検索したときに僕のYouTubeにたどりついてもらえたらと。聴いてみて「俺が今しているやりとりと同じじゃん」となれば、詐欺だと気づいてもらえるかなと思ったんです。

 この番組も、最近は見てくれる人が増えてきました。「まさに同じことをされていたけど、途中でYouTubeを見て詐欺だと確信できたから引っかかりませんでした」という連絡も結構もらえるようになってきています。今後も会話の録音やLINE詐欺の動画のほか、SMS詐欺に折り返し電話をしたときの録音などをどんどん公開していく予定です。

■冷静に考えると怪しげな話ばかり

 詐欺では「お金を払う」というのが最終行動です。本人のお金の決裁権限は本人にしかないわけですから、払いさえしなければ被害にあわずに済みます。でも、いかにしてそこまで誘導するかを考えるのが詐欺師の仕事。実際、被害者の多くは引っかからない自信があったのに引っかかっているのです。

 僕もあえて投資詐欺のLINEグループに入っていますが、見ているとやっぱりおかしな話ばかりです。偽の運転免許証やボイスメッセージはうまくできているものの、話自体は「この株は1年で倍になる」といった怪しげなものがほとんど。

 確かにそういう株もないわけではないけれど、いつ上がるかなんて誰にもわからないですし、逆にわかるんだったらそれを人に教えるメリットなんてないはずです。

■詐欺師にとって2024年は最高の稼ぎどき

 たいていの場合、詐欺被害の入り口は「儲けたい」という思いです。そう思うこと自体はまったく悪くありませんが、著名人から直接LINEで儲かる方法を教わるなんて普通に考えたらあり得ない。その普通の感覚が、お金がからむと狂いやすいということは知っておいてほしいですね。

 2024年は1月から新NISAが始まり、日本株も好調が続きました。今は、皆がやっているからとよくわからないままに焦って新NISAを始めた人、投資を始めたら思いがけず資産が増えた人などがたくさんいる状況です。投資初心者が盛んに動いている今は、詐欺師からすれば最高の稼ぎどきでしょう。

 とりあえず投資を始めたけどよくわからないし質問できる相手もいない、懇切丁寧に教えてくれる人が現れたと思ったら詐欺師だった──。そんなことにならないように、初心者の方は投資のときこそ「普通の感覚」を大事にしてほしいと思います。



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森永 康平(もりなが・こうへい)
株式会社マネネCEO、経済アナリスト
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)、『つみたて投資の教科書』(あさ出版)など多数。
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最終更新:4/22(月) 8:17
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