「衰退」ってのとは少し違うと思います

ネット上では「茹で蛙」という比喩もありますけど

 

記事内にあるように少子高齢化をそのまま言い表して

単純に「国が老化している」でいいのではないでしょうか

 

国や民間の指導的立場において年寄りがいつまでも居座り

権力で支配し自分の知らない・理解できない技術や文化を否定するため

文化が先に進まなくなっているだけだと思います

 

革新的な人も居るでしょうが

現状を鑑みるにそう多くは居られないでしょう

日本社会において

「出る杭は打たれる」

「長い物には巻かれろ」は標準仕様ですからね

 

 

国が衰退しているのは明らか─それでも日本人の「平和ボケ」はいまも健在

 

3/17(日) 9:00配信

 

進む少子高齢化、成長しないどころか後退しはじめた経済、そして頼りにならない政府──そんな危機迫る状況にもかかわらず、なぜか日本国民は落ち着いているようだ。その“不思議”を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が解説する。

 

数十年間ほとんど成長をみなかった景気が、いまや後退段階に。減り続ける人口、昨年の出生数は過去最低。政治が硬直しているように思われるのは、事実上権力を握っているのが一党であり、どれほどスキャンダルまみれになろうと、不支持率が高まろうと、その状況に変わりがないからだ。

でも、ご心配なく。ここは日本、悪い情報はすべて相対的なものだ。

まあ見てみよう。日本みたいな現状ならば、社会的荒廃の兆候、たとえばゴミの散乱、路面の穴ぼこ、ピケライン(ストやデモの際に張る監視線)等々を想像するだろうが、それはまず見当たらない。安定ぶりとまとまりの良さはいまも驚くほどで、破滅が差し迫っている感じはほとんどない。

この平穏さは、ことなかれ主義の表れである。「しょうがない」というのが、国民の口癖のようなものなのだ。

日本人が無頓着である理由はわかりやすい。失業率は低く、電車は時間通りに運行し、春になれば桜が咲く。神社やショッピング街は旅行客であふれ、株式市場は史上最高値を更新した。いくぶんのインフレはあったが、ラーメンなら一杯7ドル(約1000円)以下で食べられるし、おかずが複数ある定食でも12ドル(約1700円)ほどだ。

住宅事情は東京でさえも概して手頃だし、国民皆保険制度もある。犯罪件数も少ない。2022年のデータでは、銃による殺人事件は日本全国でたった4件。スマホをレストランに置いてきてしまっても、戻ればおそらくまだそこにあるだろう。

「いまの生活状況には、かなり満足しています」

クラシックの打楽器奏者ツジモト・チヒロ(26)はそう話す。彼は調布にある映画館から妹と一緒に出てきたところだった。日本人は「諦めてしまっていて、自分の生活が充実して健全である限りは、結構幸せ」なのだとツジモトは説明する。「日本は平和ですから」とツジモトは続ける。

「若い世代は、『自分の国を変えなくては』とは思わないのです」

この穏やかな凪のような感じは、国外の情勢が戦争や社会問題に苦しんでいることでより一層強まっている。

「私はよく出張で米国やヨーロッパに行くのですが、移民や犯罪率の高さ、暴動といった問題を抱える他国に比べて、日本の社会や体制はすごく安定していると思います」

そう語るのは化学メーカー勤務のミワ・ヒサシ(65)で、世田谷にトイレットペーパーを買いにきていた。

とはいえ、穏やかな表面の下には数多くの問題が巣くっている。仕事熱心で同調圧力の強い文化が根づく日本は、SDSN(国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)の調査によれば、先進国のなかでもっとも幸福度の低い国だというし、自殺の多さも大きな問題だ。

ジェンダー不平等は根深くて状況はなかなか改善せず、豊かな国のなかでは一人親家庭の貧困率がトップクラスである。田舎では急速に過疎化が進み、高齢化で年金や介護の負担はこれから徐々に増していくだろう。

2025年には5人に1人が75歳以上となる予定にもかかわらず、移民の受け入れに苦労しているこの国では、労働力不足も次第に露呈するだろう。実際すでに、日本が誇る制度のいくつかに綻びが生じている。

「郵便の到着に4、5日かかります」

郵便サービスについてこう話すのは、慶応大学総合政策学部の白井さゆり教授だ。以前は多くの場合1日あれば確実に届いていたのだ。

またケーブルテレビやそのほか公益サービスに何か問題があって、電話で問い合わせしたくても「もう電話による受け付けはやってない」。

「サービスの質は、もうそれほど良くありません」

ところが、こういう不便さにいらだちを覚えることはあっても、切迫した社会的崩壊の兆候にはつながっていない。とはいえ、第二次世界大戦後の数十年間で瞬く間に豊かな国となった日本はいま、ほとんど気づかれないほどゆっくりと衰退しつつある。

Motoko Rich, Hisako Ueno and Kiuko Notoya

 

最終更新:3/17(日) 11:57
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