3/12(火) 7:36配信
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、今の政治の危うさがあらわになりました。政治思想が専門の野口雅弘・成蹊大学法学部教授と考えました。【聞き手・須藤孝】
――どうしてこんなことになってしまったのでしょう。
野口氏 今回の事件では、特定の人や企業にわかりやすく便宜を図った構図はみえません。ロッキード事件やリクルート事件とは違います。
一体なんのためにこんなことをやったのか、よくわからないまま、おカネと権力の結びつきがあらわになったことが特徴です。
私はカネ持ち支配、プルートクラシー(プルートスはギリシャ神話の富と収穫の神)と言っています。マックス・ウェーバーが使っている言葉です。
おカネを持っている人が政治に影響力を行使しやすくなり、政治家になればおカネが入ってきやすくなる。一部の人たちのなかで支配が完結する傾向が強まっています。
◇「おカネを持っている人」からしか
――何に使うためだったのか、はっきりしません。
◆岸田文雄首相が子どもに首相になった理由を聞かれて、「日本の社会のなかで一番、権限の大きい人なので目指した」と答えていました。
なぜやりたいことを言わないのでしょう。今回の事件で、なんのためにおカネを集めていたのかわからないことと符合しています。
権力を持つことが自己目的化し、中にいる人もそこから降りられなくなっています。おカネはあふれていますが、なんのためにやっているのか、本人にもわからなくなっているのではないでしょうか。
――被害者は誰でしょうか。
◆おカネを持っていない人です。金銭力を持たない人は、政治家に自分の意見を届けることができなくなり、政治にアクセスできなくなっています。
岸田首相は「聞く力」と言っていましたが、すべての人から要望を聞くことはできません。岸田首相には、おカネを持っている人からしか意見が入ってこなくなっているのではないでしょうか。
◇「カースト化」している
――一部の人たちの政治になっているということですか。
◆カネ持ち支配は少数の人たちの支配です。構造が固定化され、強化され続けていることが問題です。政治家の世襲が問題なのは、利害関係者とおカネが集まりやすい構造が固定化するからです。
一般の人が政治の世界に参入することが難しくなっています。政治の土俵に上がれる人自体、すでに特権階級になっているのではないでしょうか。「カースト化」していると言っていいでしょう。
――「カースト化」とは厳しい言葉です。
◆今の日本は、どこで生まれたか、どんな親から生まれたか、どのような経済的・社会的条件のもとで生きているかで、かなりのところまで決まってしまう社会になりつつあります。それがもっとも強く出ているのが政界です。
生まれた時から同じカーストにいて、自分たちにカネが入ってくるのは当たり前だと思うようになれば、それだけ自制心は失われます。
昔の自民党の政治家には、マックス・ウェーバーの「職業としての政治」を熱心に読んで、権力への畏れや自制心を説く人がいました。
それと関係するかどうかはわかりませんが、カースト化が進めば、カネや権力への自制心は薄くならざるをえません。
◇政治が遠くなっている
――弊害が大きいですね。
◆プルートクラシーのもとでは支持してくれる少数の人を相手に政治をすることになります。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のような少数の人たちが影響力を持ってしまえるのは、政治に関わる人の範囲が狭くなっているからです。そのなかでおカネがまわり、政治家との距離が近くなれば、旧統一協会のような、一般の世論とはかけ離れた主張も通るようになります。
――政治が遠く感じられるのも無理はありません。
◆一部の人たちだけでゲームをやっているとしか見えなくなったら、「なんのために投票するのか」と感じるようになるでしょう。
私は昨年までドイツにいましたが、デモなどの抗議行動がある程度大きくなると、政権も仕切り直します。国民に、自分たちの行動が有効だという感覚があります。
しかし日本の場合は、国民の不安が表明されて争点になり、政治家が考え直すコミュニケーションがうまくつながりません。
閉塞(へいそく)したカーストのなかでおカネがまわっていて、その中の人はまったくおかしいと思っていません。
外からみると違和感が強いのですが、それを届けるルートがありません。だからよけいにカースト化、特権化、カネ持ち支配が進むのです。
――対応策はあるのでしょうか。
◆今、このプルートクラシーの構造が露骨に形成されていることを、はっきりと指摘しなければなりません。
そして、世襲も含めて、政治家の閉鎖的なリクルートを続ける政党には、明確に否定的な態度を示す必要があります。
私たちが民主主義の当事者であるために、カースト化の傾向には真剣にあらがうべきです。(政治プレミア)
最終更新:3/12(火) 7:36
毎日新聞
カネ持ち支配ですか・・・
金持ちは金持ちでも「成金」の方じゃないですか
本当の金持ちってそこまでお金に汚くはないと思いますけどね
お金に汚いイメージは
「成金」か「お金持ちの周りをうろつくハイエナ」って感じですけど
被害者がお金を持っていない人ってのはどうなんでしょうね
お金なくても選挙権がある訳だし
政治家を選ぶ権利があるので一概に被害者とは言えない
逆に言えば
生活環境や会社生活のしがらみから何も考えず
今回の様な政治倫理の欠けた政治家を選んでいるとするなら・・・
加害者であるとも言える
政治家が批判されるような行為を起こし
警察沙汰や裁判で有罪を受けた場合
その政治家を選出した選挙地域に対して
政治家にふさわしくない人物を選んだ罰則として
選挙権停止くらいした方が良いかもしれませんね
いい加減な選出は出来なくなるのではないでしょうかね