決戦の朝
いつか、どこかで誰かが言った。
『汝は汝の汝を愛せ。汝は汝の汝を生きよ。』
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朝焼けはいつだって眩しい。
それは、朝日が輝いているからではない。
朝日を見つめる男たちが、総じてくすぶっているからだ。
タバコの煙がジャケットに染み付いている。
アルコールは腹が胸より下にあることを確かに教えてくれる。
街が今日の幕を開ける頃、二人の男は、
何人かで構成されていた、仲間という名の群れを離れた。
人通りの増え始めた道の外れで、押し殺した声で話し始める。
男が男に決意を問う時、その声はいつだって低い。
「今日は、いくのか?」
「いくしかないだろう。こんな朝だ。お前は?」
「いくさ。お前がいくならな。」
「付き合ってくれるのか。」
「おい、何年、一緒に動いてると思ってんだよ。」
「忘れちまったよ。」
「三年だ。」
「四年だよ。」
「覚えてるじゃねーか。」
「うるせーよ。」
「こんな朝、ずっと来なければいいのにな。」
「こういう朝もあるから、悪いヤツらが笑ってられるんだ。」
「行くか、そろそろ。」
「行こう。」
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という会話を交して、飲み会オール明けに
ぼくと彼は、渋谷の早朝ヘルス
『フェライドグランプリ』に向かったのでした。
総書記です。
彼が誰かは、いずれこのblogで明らかになるかも知れません。
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自己紹介をします。
ぼくは、都内大学の四年生。
就職は決まっている。
卒業は決まっていない。残り44単位。
大学ではイベントを企画するチームを組んで、
代表を務めさせていただいておりました。
イベントのサークルではなく、イベントのチームと書いたのは、
人数を増やすようなサークル的な型ではなく、
いくつかのイベントサークルの代表や、大学の広告研究会や、
学園祭の実行委員会の幹部なんかが
集まって作ったイベント専門集団のような型で活動していたからです。
正に、イベントチーム。
四年間弱でいろんなイベントをやらせていただきました。
詳しくはここでは書きませんが、
日本を元気にするための、学生の記念日を創ろうとしたり、
老若男女が一つになれる新東京総おどりを創って広めたり、
学生対象のHIV啓蒙キャンペーンを仕掛けたり、
社会貢献から企業のプロモーションまで、
…まぁ、いろいろさせていただいてきました。
体重90kg(成長した山羊と同じくらい。)
身長168cm(サンボマスターのボーカルと同じくらい)
一日5食(高田道場の新人と同じくらい)
柔道二段(小学校に入る前のホイスグレイシーと同じくらい)
一部では総書記と言われてます。
威張っているからです。
実際、一人では何にもできません。
マザコンです。23歳なのに、朝、母親に起こしてもらってます。
それにも関わらず、世の中を楽しみたい、楽しませたい、と思っているから、
イベントやらなんやら、いろいろやります。
だから、周りの皆様に助けてもらうわけです。
チームを組むと、スケジュール管理ができない。
映像などクリエイティブも使えない。
金勘定も苦手。早漏。近眼。
…と、特に何もできることがないので、代表をやることになります。
私見ですが、代表の仕事は二つだと思っています。
責任を取ること。そして、迷わないこと。
特殊技能はいりませんね。
ただ、覚悟と勢いと体力が必要。
比較的あると思っております。
あとは、ぼくの場合、思いつくのも仕事のうちかと。
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さて、そんなぼくが本を出版しようと決心したわけです。
当然、一人ではできません。仲間が必要です。
どうしようか。
心当たりは、ある。
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冒頭のことばは、
ドイツの詩人、シラーがヨーロッパの若い詩人たちに贈ったことばです。
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きっかけ
いつか、どこかで誰かが言った。
『この世にないものは無限にある。』
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はじめまして。総書記です。
この日は23回目の誕生日。友人一同に祝ってもらう。
たいへんありがたい。高校の仲間、イベントの戦友、大学の友人、就活つながり、様々な方々が来てくれた。
誕生日パーティーというのは、正直、主役がやたらと気をつかう。
関係性がバラバラなので、場がきちんと盛り上がるか、気になるわけだ。
ましてや、ぼくは主催していただいている身だ。
当日まで誰が来るのかわからない。
つまり、客でありながら、他の客に責任を負うという、微妙な立場になる。
いろんなヤツがアチコチでいろんなことを言っている。
『お前が今みたいに明るくなったのはオレのおかげだ!』
…まぁ、いい。
『ウェブトゥーポイントオーの時代はさぁ』
…2.0は、にぃてんれいと言え。
『イベント2.0がさ』
…そんなものはない。
『オーパルパル行きてー。』
…どこだ。
『みずほのどうきでおなちゅうだったぱんしょくとぴんあぽいれてといれでうった』
…お前の言っていることはわからん。
『卒業記念イベントいつするの?』
…ぼくはいつ卒業するんでしょう?
『今日、なんの飲み?』
…まぁいい。
『はじめまして!』
…こちらこそ!
と、様々だ。来てくれた皆様、ありがとうございました。
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久しぶりに会う人々からやたら聞かれたのが、
『なんかやんないの?』
という質問だった。
意味がわからない。
とりあえず脱いだり抜いたり
高田延彦の物真似をしたり青春アミーゴ歌ったりしてみる。
若手か。オレは。
どうやら皆様は就活終わったぼくがヒマとやる気をもてあましていて、
デカいイベントでも企てるんじゃないか、と煽り半分で聞いているようだ。
そういうのを、邪推という。
やる気はある。たしかに卒業までに
何かもう一つくらい何か企画を成し遂げたいとは思う。
だけどやりたいことがない。というか、やるべきことがない。
イベントはメディアだ。
伝えるべき何かがなければそれは、ただ人が集まってるだけのことだ。
なんでもいいからとにかくイベントやってみた。それはイベントとは言えない。
少なくともぼくにとっては。
おまけに、ぼくには大学の学費やら内定先の課題やら
耳たぶのオデキやら卒業までの44単位やら卒論やらがあって
身動き取れない感じなんだ。
まぁいい。
イベントの戦友たちと話すのも久しぶりだ。
就活終わってヒマなやつ、就活を控えて守りに入ってるやつ、
起業してモテモテなやつ、家でドラクエばかりやってるやつ、
将来30くらいになって親を刺しそうなやつ…様々だ。
そこで、ドラクエの話になった。誰誰は職業で言うと~~だ。
というやつ。SMAPで言うと、中居さんは勇者で木村さんは賢者、草剪さんは戦士で…。みたいな話。
当然リーダーにしてプロデューサーのぼくは僭越ながら勇者か。
と思いながら皆に聞いてみれば、満場一致で商人。
トルネコか!?
ビジュアルだけか!?
まぁ、そんな感じで思い出話には花が咲く。そこでも言われる。
『なんかやんないの?』
いやいや、ぼくの耳には
『なんかやりたいんだけど』
としか聞こえん。知るか。
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とか言いつつも、戦友たちと話していて思ったのは卒業の話。
ぼくには後輩があまりいない。
もちろん愛すべき年下の仲間はたくさんいるが、サークルや部活の後輩のような、
ノウハウやらリソースやらコネクションやらを継承する相手というのは特にいない。
だから、ぼくが大学生活の四年間で蓄えたノウハウやら精神論やらはそのままぼくだけのものになってしまう。
ぼくの大学卒業とともに大学生の生活圏からは失われてしまう。
例えば、イベントに協賛つけたかったらどう売るのか、とか、
自分のイベントのVIP席に突然ヤクザがやってきたらどうするか、とか、
全く酒が飲めないけどVIPな業界人に誘われたらどうするか、とか、
お世話になってる社長が実は右翼だったらどうするか、とか、
鬱病の母親に元気出せと言われたらどういうことなのか、とか、
ボビーオロゴンとメルヴィンマヌーフはどう見分けるのか、とか…、
大学四年間でぼくが学んだ、大学生活を自由に、危険に、
そして楽しく生きていくためのいろいろなことは、
きっと、他の誰かにも役に立つはずだ。
それがあれば、ぼくが四年間かかってできたことを、
誰かは一年でできるかも知れない。
そうしたらその誰かはいずれぼくを大いに刺激してくれるかも知れない。
そんなことを考えた。
学生にやる気を出せー!!と無駄に無責任に叫び続ける
コンテンツはたしかにある。
…やる気を出して、何を、どうしろというのか?
また、学生にこんなことすれば優秀な大学生として評価され、
いい就職できますよーと教えてくれるコンテンツもある。
…そんなことばっかりで大学生活、本当に楽しみ尽せるか?
大学生活を、自由に、危険に、楽しく過ごす方法を本音で伝えるコンテンツは
まだ世の中にないような気がする。
何より、やっぱりぼくだってみんなと卒業前になんかデッカイことしたい。
で、決めた。
なんかやろう、と。
ずいぶん尻軽だが、いいんだ。
決断は早い方がいい。穴があれば入れてみたい。
そういうことだ。
じゃあ、何をやろうか、で、話は盛り上がる。
つまるところ、この思いをどんなコンテンツで表現するか、だ。
イベントは?
違うな。
イベントというメディアは瞬発力には長けるが、持久力に欠く。
できればノウハウとか精神論を長く残し、
その時々の若い人たちに力を与えるコンテンツにしたい。
ターゲット的にも違う。
東京の若い人たちに伝えるだけじゃ意味がない。
むしろ、地方の若い人たちに伝えたい。
東京怖い。東京汚い。あるいは東京チャラい。東京エロい。
なんて思っている地方の若い人たちに、
東京で大学生活を送ることのチャンスとかオモシロサを伝えたい。
それに、イベントにはちょっと飽きた。
テレビ番組は?
メディアとしての持久力が足りない。
映画は?
一般公開するまでに時間がかかりすぎる。
本は?
メディアとしての持久力はある、
全国の書店を介してターゲット的にも広がりがある。
それに、最近、村上龍の『半島を出よ』を読んで感動した。
それに、高校までは卒業文集あるのに、大学には卒業文集ないよね。
そして、ぼくは本を出すと決めた。
その夜は朝までカラオケボックスでそんな話を延々とした。
山手線が動き出し、センター街のゴミをカラスたちがまきちらす頃、
ぼくたちはほとんど歌ってないにも関わらず、軽く喉が枯れていた。
どんだけ盛り上がったんだよ。
カラオケボックスを出る前、最後にチャゲアスの「Ya-Ya-Ya」を入れて、
みんなで歌った。
『掴んだ拳を振るえずに言葉をなくしてないかい?』
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23歳というのは、特別な年齢だ。
ピカソが写実主義を乗り越えて、キュビズムに辿りついた年齢。
坂本龍馬が維新を志し、脱藩した年齢。
マウリシオショーグンがPRIDEグランプリを初めて制した年齢。
ぼくと仲間たちが、初めて本を出版する年齢。
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冒頭のことばは、コピーライター中尾孝年さんが、若手の広告クリエイターに贈ったことばです。
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