BEACON ARCHIVE 001
ある保険対応の記録
⑤ 確認
結論

違和感を覚えたとき、すぐに反論はしなかった。

先にしたのは、相手の説明を確認することだった。

何が問題とされているのか。
何を根拠にしているのか。
その説明は、時系列や記録と合っているのか。

それを一つずつ確認していくこと。

このときに必要だったのは、反論ではなく、確認だった。

⸻ ◦ ⸻
当時の状況

ここまでの流れは、こうだった。

① はじまり
② 給付金請求
③ その一言
④ 違和感

請求のあと、相手側から一つの判断が示された。

しかし、その前提は、本人の認識とは食い違っていた。

ここで違和感が生まれた。

違和感は、感情ではある。
ただし、違和感そのものは、まだ事実ではない。

「おかしい」と感じることと、
「どこがどう食い違っているのか」を示せることは、別である。

だから、感情のまま反論する前に、
相手の説明の中身を確認する段階に入った。

⸻ ◦ ⸻
なぜ確認が必要だったのか

理由は、二つある。

一つは、相手の判断が「何を根拠にしているのか」が、
この時点ではまだ十分に見えていなかったからである。

根拠が見えないまま反論しても、
反論は推測に対する反論になってしまう。

推測に推測を重ねると、
あとから事実を整理することが難しくなる。

⸻ ◦ ⸻

もう一つは、こちらの認識もまた、確認を必要としていたからである。

本人の記憶、診断書の記載、診療の経過。
これらが互いに整合しているかどうかは、
こちら側もあらためて確かめる必要があった。

確認は、相手のためだけのものではない。

自分の側の理解を、推測ではなく記録に基づかせるためのものでもある。

⸻ ◦ ⸻

確認の目的は、相手を追い詰めることではなかった。

何が起きているのかを理解し、
落ち着いて判断できる状態を取り戻すことだった。

⸻ ◦ ⸻
確認すべき項目

このとき、確認の対象としたのは、おおむね次の四つだった。

1何が問題とされているのか
相手側が「問題」としている点を、こちらの解釈ではなく、相手の言葉のまま把握する。
2何を根拠にしているのか
その判断が、どの資料・どの照会・どの記録に基づいているのか。根拠の出どころを確認する。
3どのような説明なのか
根拠から結論へ、どのような筋道で判断が組み立てられているのか。説明の構造そのものを確認する。
4それが時系列や記録と整合しているのか
受け取った説明を、こちらが保管している時系列・診断書・記録と照合する。合っていれば、それでよい。合っていなければ、どこがどう合わないのかを具体的に書き出す。
⸻ ◦ ⸻

この四つは、いずれも「責める」ための項目ではない。

「確認する」ための項目である。

確認の結果、整合していればそれを認める。
整合していなければ、その不整合を、感情ではなく形で示す。

どちらに転んでも、次の判断のための材料になる。

⸻ ◦ ⸻
Beacon Point

違和感は、入口にすぎない。

違和感のまま反論すると、議論は感情と感情のぶつかり合いになる。

そうではなく、違和感を覚えたら、
まず相手の説明を確認の対象に置く。

・何が問題とされているのか
・何を根拠にしているのか
・どのような説明なのか
・記録と整合しているのか

この四つを確認してから、はじめて整理が始まる。

確認は、攻撃ではない。

理解し、判断できる状態を取り戻すための、最初の一歩である。

照らす。
煽らない。
崩れない。
PROJECT BEACON
戻れる位置として在る。