世間の人に求められていることや必要とされていることを正確に把握するためには、
とにかく“調べる”ことが必要です。
ところが、人々のニーズというのは、環境や状況に強く影響を受けます。
従って、薮から棒に調査をしても、自分の経営の方向性を作り上げるためには役に立たないものに
なってしまうこともあり得ます。
① 必要な場所で、必要な調査を行なうこと。
そして、
② 結果ありきの調査をしないこと。
それが市場調査のポイントになってきます。
例えば、新しいマンションを建てる立地として一番良いのはどういうところだと思いますか?
まだ、マンションが一つも建設されていない地域でしょうか?
実は、マンションを建設する場所としては、もうすでにマンションのある地域が望ましいのです。
その理由の一つは、その地域にマンションに対する確実なニーズがあるからです。
すでに部屋を借りていて、空室を探していなかったとしても、すぐ近くにもっと条件の良い賃貸マンション
が建設されれば、そちらに引っ越すことを考える人もたくさんいるのではないでしょうか。
そして、もう一つの理由は、市場調査がしやすいというメリットがあるからです。
すでにその地域のマンションで生活している人がいるということは、どういう部分に不満を感じているのか
など、事実に基づいた正確な市場調査ができるということになります。
そして、その地域の賃貸マンションの家賃の相場であったり、基本的な設備といったことも調べれば
分かることです。何もない場所に新しくつくることよりも、時にはすでにある場所だからこそ好条件で
経営を進めることができるという場合もあるということです。
調査で必要なことは、需要と供給のギャップを割り出すことです。
たとえマンションがたくさんある地域でも、それが生活している人の需要に見合っていない物件であれば、
その物件は選ばれません。ならば、需要を満たす物件を作れば、他の物件に容易に勝つことができるの
です。
市場調査を徹底するということは、その土地で今必要とされている需要を見極めるだけのことには
止まりません。その地域の人や環境を徹底的に調査すれば、将来その土地がどのように変わっていく
のか、という仮説も立てやすくなります。今はまだ栄えていない地域でも、何年後かに都市に直結する
交通手段が開通する予定があれば、そのときにその地域に住みたいと思う人の人口も増えてくるはず
です。
また、結果ありきの調査をしてはいけないというのは、なにがなんでもそこにマンションを建てる、
ということを調査以前に決めることはできないということです。
市場調査の結果、そこにはマンションではなく駐車場など土地を別の方法で利用した方がいいとなれば、
柔軟に対応していかなければなりません。
不動産物件というのは、長期にわたる利回りでお金を回収していく、いわば一つの投資のスタイルです。
そして、マンションとて投資の中の一つの手段にしかすぎません。その地域にそれ以上マンションを建設
するのが明らかに賢明でない場合や、他の利用方法による有効な活用手段が見つかったのならば、
オーナーは必ずしもマンションに固執する必要はないのです。
同様に、経営を進めていく中では、常に調査を怠ることはできません。
新しいニーズはなんなのか、そして数年先に必要とされることはなんなのか、ということをその中から
見つけ出していくのです。
新たなニーズというのは、別の場所からやってくるのではありません。実は、もうすでにその中に存在して
いるのです。そして、調査の結果、それがあまりにも採算の取れない仕事だという結論に至った時には、
方向を変えれば良いことだけのことです。