現役での大学受験は全落ちし、予備校に通っていた息子。


高校は超進学校に通っていた。



どこかで



《ちょっと頑張れば、それなりに良い大学に進学する事は出来るだろう》



そんな甘い考えがあった。



高校の卒業生の進学実績はとても素晴らしく


東京一工

旧帝大

早慶

国立医学部


それらの大学名がずらりと並んでいた。



息子もその一員となれるものと思っていたが


実際に大学受験を経験してみると、一般受験はそんなに簡単なものではなかった。



《みんなと同じような大学へは行けそうにない・・・》



親からの期待と

自分の中にあるプライド



息子は葛藤し、苦しんでいたに違いない。




予備校に通うにも

模試を受けに行くにも


「お腹が痛い。」


息子はそう言って、トイレに籠りがちになっていた。

元々、お腹の調子は良くない。



ストレスを感じていたのだろう

二度目の大学受験が近づくに連れて、腹痛を訴える事が多くなっていた。



模試に出掛けても、電車を降りてトイレに行き、会場に到着するのがギリギリになったりしていた。




今なら迷わず

受験も予備校も辞めて、心身ともに健康を取り戻す事に舵を切るが



《高偏差値高校に通っていた息子が

高校のクラスメイト達と共に予備校で切磋琢磨し

高偏差値大学へと入学を決める》



当時、そんな道筋しか見えていなかった私は


全てを辞める決断が出来なかった。



愚かな母だ。





息子の腹痛に対し、夫は


「食べたらお腹が痛くなるんだろ?!」

「だったら、朝食を食べるのをやめればいい。」


朝食をとらずに出掛ければ、途中で腹痛を起こす事も無く、

予備校にも、模試にもちゃんと行けるだろう



そんな理屈で、夫は息子に朝食を食べる事をやめるように言った。



私はすかさず反対した。



早起きしてきちんと朝食を摂ることで、生活のリズムを整える事が出来るし、

便通のリズムも整うと考えるからだ。



しかし



息子は、私の話よりも夫の言う事に同意し

【朝は食べない】選択をした。



腹痛がとても苦しかったのだろう。

「薬に頼るのは嫌だ。」と息子は言った。




自分で自分の身体を理解してコントロールする事は非常に重要な事だ。


しかし


食事を摂るべき時間に摂らないという安易なやり方は


別の意味で、生活に支障を来した。


そうで無くても朝なかなか起きられなかったのに

朝食時間が無くなった事で、益々布団から出てこなくなった。