高校3年生だった息子の大学受験が目前に迫っていた頃。


本人が希望する大学は


『国立大学も私立大学も全て現役での進学は無理だろう』


と高校の担任から言われていた。




それでも




超進学校に通っていた息子は、他のクラスメイト達と同様に


トップクラスの大学への進学を目指していて



親である私たち夫婦も


息子が本気で取り組めば、トップクラスの大学へ入学出来ると信じていた。





センター試験(現:共通テスト)の過去問の出来は、と言うと



得意の数学や国語は9割の正答率だったのだが、

苦手な英語は6割程度で、全体的に大きく足を引っ張っていた。


息子の好きな教科であるはずの理科も、なぜか点が伸びず。

得点源として期待していたので、もう少し物理をやり込まなければいけないような状況だった。





センター試験一ヶ月前となり

センター試験プレテストが行われた。



参加した結果、


過去問であんなにやっていたにも関わらず、

過去問の出来とセンプレの出来はさほど変わらなかった。




【浪人】




許可したものの、現実として実感したのはこの時が初めてだったかもしれない。




それまでは、


《現役で駄目でも、浪人すればいけるんじゃないか》

《クラスメイト達も浪人覚悟で受験するから》



と、どこかふわふわとした感覚だったのだが

急に現実的になった気がした。




あと一カ月で、どこまで伸ばせるのか。

とても不安だった。





クラスメイト達は

「高校4年生に進学するから、大丈夫!」


などと話していたらしい。



要は、高校を卒業した後

《駿台予備校へ通う》という事だ。




超進学校であるが故に



学年の三分の一以上が浪人を選択するため、

予備校へ入校するとまた同じような顔ぶれで、机を並べて勉強するという環境になるのだ。



そんな笑えない冗談を言いながら

みんな追い込みを掛けて必死に勉強していたに違いない。





息子も、高校時代あまり勉強に身が入っていなかった割には

数学では9割を超えているのだから



《どこかの大学には合格するんじゃないか》


と思ったりもしたが




【高校4年生】という甘い響きに

身も心も引きずられていたように思う。