県立トップ高校に通っていた息子だが

成績は低迷していた。


当時の私には、何故息子が勉強しないのか?不思議でならなかった。


黙って見守っていれば、いつか自分で


「このままでは、マズイ」


と、気が付いて勉強を始めるのではないかと思っていた。



学校からは三者面談でも子の成績を見せる事は無かった。


ただ、赤札の話はあったので成績が悪いらしい事には気が付いていた。



高校自体は高偏差値のため、


「学校での成績が多少悪くても、全国規模の模試では成績が良いはずです。」


と先生からはそのような話は常にされていたので


どこかで息子に期待する気持ちを捨てきれずにいた。



高校の懇談会などで出会う、クラスメイトの母親達は皆、

「成績は平均で良いから、と子どもに言っている」

と、話していた。



なるほど。



高校の先生方の話と合致する。




とりあえず、この高校での勉強についていくのは大変だけれど、


平均でいられれば、それで充分、全国規模の大学受験に対応出来るという事なのだ。



しかし私は



中学時代の息子の好成績が記憶にこびりついていた。


しかも


その頃のように息子が一生懸命勉強している姿を私は見ていない。



《平均で良いから》


なんて思えなかった。



《どうしてがむしゃらにやらないんだ?!》

《どうして焦らないんだ?!》

《どうして一番になりたいと思わないんだ?!》



とにかく勉強に集中して欲しかった。


《平均を目指していては、追いつけない》


そう思って


クラスメイトの母親達の話を、斜に構えて聞き流していた。