息子は小学生の3、4年生の頃からよくお腹を壊すようになった。


お腹を壊す度に小学校を休ませ、病院へ連れて行った。


病院で診てもらうと、診断はいつも

【感染性胃腸炎】という事で

症状が治るまで学校を1週間程休んでいた。


小学校とはいえ、学校を休んでいる間も授業は進んでいく。


《休み明けに学校へ行ってみたら授業が分からなくて困った》


という事がないように、小学校からの連絡帳を見て授業進度を確認し、家で通信教育を進めるようにしていた。



小学校の頃でもそのような状況だったので

高校に入学してからは、更に休む事そのものが怖くなっていた。



なぜなら



息子が入学した県立高校の授業進度がとても速かったからだ。




《1日でも休めば、あっという間に取り残される》


という不安が常にあった。




ある時、通学でいつも利用している電車が止まっていた。



直ぐに動き出すのか?

それともしばらく動かないのか?



朝の時点では分からず、



駅で待って動き始めたら電車に乗って登校するか?

いつ動くのか読めない状況だったため、思い切って高校を休むか?



どちらかを選択する必要があった。

休むのであれば朝のうちに学校へ連絡する必要があるのだ。



しかし



もしかしたら電車が動くかもしれない、と思うと休ませる勇気は無かった。



その日は偶然にも私が仕事を休みだったため、学校まで車で送る事に決め、直ぐに車で息子を乗せて出発した。



通常なら片道30分くらいの距離だが、その時は電車が止まっていた影響で道路も大渋滞していた。


結局、学校まで片道2時間も掛かってしまった。



それでも何とか登校時間に間に合った。


息子が高校の校門を入って行ったのを確認し、私は家へと帰ったのだが。



なぜか気持ちはモヤモヤしていた。



高校まで大渋滞の中、通常の4倍近く時間を掛けて送ったが


息子は後部座席で爆睡していた。


「学校に遅れてしまうかも」

「授業に間に合うように行かなければ」


そう焦っていたのは、私だけだったのだろう。



朝の小テストの勉強をするとか

毎日の英単語テストの勉強をするとか


車の後部座席にただ座っていれば高校に到着するのだから

2時間という時間を有効活用して、その時にできる事をやるのが普通じゃないのか?



どうしてやらないんだ?とか

どうして寝ているだけなんだ?とか



《折角高校を休まないで済むように車で送ってやったのに》


恩着せがましく、ずっとモヤモヤしていた。