高校の授業の進度は、とても速かった。
英語の授業は、板書などしなかった。
先生が板書する時間は全くなく
事前に用意されたスライド映像が瞬時に掲示されるだけで、どんどん進んで行った。
スライド映像をノートに書き写す時間など、無い。
そもそも、予習ありきなので
基本的に授業でノートにスライド映像を書き写す作業の時間など、設定されていないのだ。
予習が欠かせなかったが、毎授業どこまで進むのか予測もつかないので、
クラスメイト達は時間が少しでも空くと
スキマ時間に1人でどんどん予習をして進めていたらしかった。
数学の進度も速く、数 I は高校一年生の夏休み前には終わっていた、と記憶している。
数学は得意だった息子だが
ついて行けていないようだった。
息子の話によると
クラスメイトのほとんどが、高校入学前に数検2級を取得済みだという事だった。
中学生の時は
「神だ」「天才だ」
と言われ、正答率3%の数学の難題もスラスラ解いていた息子だが
英検も数検も受けた事のない息子は
塾の日曜特訓で高校の範囲をやっただけで
日常的に、自主的に高校の範囲を勉強した事はなかった。
トップ集団の中に入ったところで、
やってもやっても追いつかない勉強と結果の出ない成績に
どんどんと追い詰められていったに違いない。
私は「やれば出来る」と息子を追い詰め
学校へと追い立て
家の中で、安らげる場所を作ってやれなかった。
息子は小学生の頃からお腹を壊す事が多かったが
この頃は、さらにトイレに籠りきりになる事が増えた。
整腸剤を飲むと落ち着くので、それで乗り切っていたが
本当は
相当のストレスが、息子を苦しめていたのだろうと、今になって思う。
その時に私がすべき事は、
息子の勉強を心配する事ではなく
息子を休ませる事だったのだ。
