ある日、高校の帰り道
息子はコンビニに立ち寄った。
そこに中学時代の同級生が居た、と息子が話した。
どうやらその同級生はそのコンビニでアルバイトをしていたらしい。
「アルバイトしたら、バイト代って全部自分のものだよね?」
と息子は言った。
「労働力と時間の対価なのだから、バイト代は全部働いた人のものだよ。」
と答えた。
私が高校生だった頃、私が通う高校はアルバイト禁止だった。
私の中学の時の同級生が工業高校へ進学したのだが、
彼女は夏休みなどの長期休暇期間になると、がっつりアルバイトをして稼いでいた。
彼女としては、工業高校という事もあって
職場体験的な意味もあってアルバイトをしていたようだったが
自分でお金を稼ぐ彼女が羨ましかった。
自分はそう思っていたくせに
いざ、我が息子が「バイトしたい」と言い出した時には
間髪入れずに、反対した。
《まず、勉強する方が先だろう》
そう思った。
超進学校で底辺を彷徨っている息子の成績。
見せてこないが、悪そうだ、という事は分かる。
授業進度は早く、予習復習を少しでも怠ると付いていけなくなる。
いや、入学直後から
既に遅れを取り、ずっと取り残されているのだ。
本来なら
学校の予習復習と課題をこなすだけで、精一杯のはずだ。
『学校を重視するために、塾を辞めた』
という話はたくさん聞いていた。
塾にも行けないほど、学校の課題で忙しいはずなのに、、、バイトとは!
絶対に許せなかった。
当時の私は、せっかく入った県立トップ高校で
きちんと成果を出して欲しいと思っていた。
結局、息子はアルバイトを諦めた。
息子がアルバイトをしないからと言って
勉強する訳では無いのに
私は、ホッと胸を撫で下ろした。
今思えば
あの時、息子にアルバイトをさせるべきだったと思っている。
もちろん
超進学校で、アルバイトなど、絶対に禁止だ。
見つかれば、相当絞られるだろう。
でも
どうせ、問題児だったのだ。
担任から、頻繁に電話も掛かってきていた。
ならば
息子が自分の意思で、自分のやりたい事をやらせてやれば良かったのだ。
高校から怒られるなら、親として怒られればいい。
高校から何か言われる事など、気にせず
法に触れる訳でもない
息子のやりたい事をやらせてみれば良かったのだ。
