息子が中学生の頃は、携帯電話を持たせていた。


塾に行くときや

模試に行くときに


何かあった時のために、と

家との連絡用に出掛ける時だけ手渡していた。


シンプルにただ、本当に電話をするために携帯電話を持たせていた。




世の中はスマホが急速に普及していた時期だった。





私自身は当時ガラケーを使っていたが



息子のクラスメイトの数名は既にスマホを持っていて

こっそり、中学校のトイレでスマホをいじっている生徒もいたらしい。



息子は、そんな彼らに

「先生に見つからないようにしろよ。」


と言ったようだが、



厳しく管理されている自分と

自由にスマホを持ち歩く彼らとの違いに


戸惑いがあったかもしれない。


ただそれは、それぞれの家庭の考えの違いでしかない。




その後高校受験が終わり、進学先が決定した時


高校には電車で通う事になるので

スマホの方が便利だろう、と息子にスマホを買い与える事にした。



実際スマホはとても便利だった。



定時帰宅しても

部活で遅くなっても

スマホで電車の時間を調べられるし、遅延情報も得る事が出来る。



学校のクラスのちょっとした連絡も

部活の連絡も

LINEで一斉に届くので、本人も分かりやすかったようだ。



中学生の時は、

塾からの大事な手紙を出し忘れ

鞄の奥底でくしゃくしゃになっていたので



そうでなくとも


宿題のプリントや授業の資料プリントなど

大量の紙があり、管理が難しかったので


《連絡事項がスマホで確認できる》


というのは、息子にとって

とても画期的だった。




しかし


そんな便利なスマホも、上手に使いこなせれば良いが


息子は、完全に飲み込まれていた。



家ではリビングで寛ぐ事がなくなり

自室に籠り

スマホで動画を見ていたり、小説を読んだりしていた。



中学生の時、クラスメイト達が自由にスマホを使っていたのを羨ましく思っていたのだろうか。


タガが外れる、とはまさに


この時の息子の事だ。

なんの規律もルールもなく、自由奔放にスマホをいじっていた。



この頃から


高校の定期テストの結果や

通知表など


息子は一切見せなくなった。



見せなかった、と言うより

見せられなかった、と言う方が正しいのかもしれない。