息子は地元県立高校に進学したが、
中学生の頃とは打って変わって、勉強にとても苦労していた。
それもそのはず
入学前に出された宿題にきちんと取り組まなかったからだ。
まず、スタートに躓いた。
恐らく、本人は事の重大さに気が付いていなかった。
中学時代のように、ちょっと勉強すれば直ぐに追いつける追い越せると思っていたのだろう。
ところが
偏差値70〜73で入学した生徒ばかりで
しかも、努力を惜しまないクラスメイト達。
今さら追いつくなど、至難の技だった。
中学生の時にあんなに勉強をさせて
やっと受験が終わり
トップ高校に入学して、やれやれと思っていたのに
私は、さらに焦り、さらに不安になり
その気持ちを払拭したくて
息子を質問責めにした。
「勉強大丈夫?」
「塾に行くなら申し込むよ」
「困ってる事はない?」
「数学の進度が速すぎて、通信教育でやっている内容が役に立たない」
と息子が言えば
勝手に、頼まれもしないのに、
数学の参考書や問題集を買ってきて、息子に手渡したりした。
朝、段々と起床時間が遅くなる息子に
「遅刻したら、授業が分からなくなるよ」
と言い、頼まれもしないのに起こしたりした。
夫は
「高校は自分で行くものだ。」
「親が頼んで行ってもらう場所ではない。」
と、私をたしなめた。
夫の言う事は正しかったが
私は、不安と焦りしかなく
息子を学校へと追い立てた。
息子の目から正気が無くなっていたと
気が付いたのは
それからずっと後の事だった。
