『歴史は勝者の物語』と言われる。



例えば



初めての武士による政治制度確立の鎌倉幕府。

その鎌倉幕府を開いたのは源頼朝だ。


江戸幕府を開いたのは徳川家康。

広く日本を統一した上で、武断政治から文治政治へと変換し、260年という安寧の世を築いた。



その歴史の裏で


多くの血が流れ

多くの敗者がいた。


しかし、その事は多く語られる事は無いだろう。




合格体験記も同じだな、と思う。


当たり前だが、合格体験記は全て

難関の学校に入学を果たした生徒の物語だ。



その裏で


多くの不合格者がいるのだ。




かつて

私はその合格体験記を読むのが大好きだった。



なぜなら



合格体験記は難関校の合格者だらけで


この塾で学べば、良い高校に合格出来ると

この高校で学べば、良い大学に合格出来ると


本気で信じていたからだ。



「受験直前には毎日10時間勉強しました。」


「家にいるとだらけてしまうので、塾の自習室に朝一番に行って勉強していました。」


「塾の先生にたくさん質問していました。」




様々な努力の跡や苦労の経験が記されており


我が子との違いを見つけては


「こう勉強すると良いらしい。」とか

「10時間勉強しないと。」とか


息子に言ってみたりした。



それが、合格への近道だと信じていたのだ。



でもその合格体験記は、勝者の物語だ。


勉強する上で、参考になる事は確かに、間違いないが


同じ事をして成功するとは限らない。



同じ人間ではないからだ。



結局のところ、私は不安だったのだ。

自分の不安を解消したい、ただそれだけだったのだ。



合格体験記を見て



息子を見ていなかったのだ。