大学受験では全落ちし、予備校に通い始めた息子。


春はとても順調だった。


成績も良かったし、

毎日予備校に通い授業を受けていた。



このまま順調に、翌年の受験を迎えられると思っていたが



6月頃には、少しずつ行けなくなっていたようだった。



ある時、家の近くを歩いている息子を見かけた。



「予備校にちゃんと行ってる?」

と、息子に聞いた。


「ちゃんと行ってるよ。」

と、息子は答えた。



日中は夫も私も仕事をしていて、息子よりも早く家を出るので


ちゃんと行ってるよ


と息子が言ったところで、確認のしようが無い。

信じるしかなかった。



予備校には、4月に入校した時点で一年分の学費を一括で支払い済みだ。


行ってる様子が無いからといって、予備校を辞めてもそのお金は戻ってこない。


予備校を辞めたところで、他にやりたい事も何も無く


とにかく、残り7ヶ月。

しっかりと毎日予備校に通って、勉強して、学力を付け


翌年の大学受験に備えなければならない。



今更、

専門学校に行くとか

就職するとか


そんな事を考えるよりも、もうこのまま突っ走るしかないと思っていた。



超進学校の高偏差値の高校を卒業しておきながら、、、

中途半端な時期に予備校を辞めさせる事など

一切考えが及ばなかった。



評判の良い大学へ入る事



それしか選択肢が無いと思っていた。




息子は、予備校から夏期講習の申込書をもらってきて、講座を選んでいた。


その申込み書を見て、

『予備校に行ってるんだ』

と安心したものの、


『本当に、それ全部受けられるの?』

と疑問に思ってしまう自分がいた。



でも、大学受験するしかないのだ。

やるしかないのだ。



本人が夏期講習の講座を選んでいるのに、私の邪推で息子の邪魔をしてはいけないと思い


夏期講習は別料金で、追加で支払いをした。




《朝同じ時間に予備校に行って、自習室で勉強する事》


を約束して、夏期講習代を支払った。



息子も、「やらなくちゃ」という気持ちはあったようだ。



でも



その気持ちは申込んだ時だけで、


結局


夏期講習にもまともに通えていなかった。




《裏切られた》と思った。






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