僕は内心「まさかな…」と思いながら、この文脈でいう教科書的な正解を言ってみることにしました。
「競合他社の商品を薦める、、ですか?」
すると師匠は、「当然」とで言うような表情で続けた。
「そうその通り。真の商人がやるべきことは、自社の商品を買ってもらうことではなくて、競合他社の商品をお勧めしてあげること。
もっと言うと、競合他社と一緒に、お客様が課題解決できるようにお手伝いすることこそが、「商売」なんだよ」
師匠のこの聖人君子のような話を聞いて、正直、「マジかよ…そんなん絶対キレイゴトだろ」って思いました。そう思いません?
でも、この後の師匠の話を聞いて、僕は深く納得しました。
あれから5年経った今では、僕にとっても“当たり前”のこと。
「もちろん、競合他社の商品を薦めてるだけだと、会社はもちろん儲からないよね。
だから、君がやらなきゃいけないことは、君のカードゲームがこの課題においては最も優れた解決策だと言い切れる“お客様の課題”を見つけなきゃいけないんだ。
もしくは競合他社よりも、より良く、より付加価値を高く、そして1円でも安くお客様に利益を提供してあげることが、君が会社の社長としての役目だよ。
また、お客さんも君に相談をすると、自社の商品だけではなく、競合他社の商品さえも薦めてくれる人、心から顧客のことを考えてくれる人だということが分かると、
お客さんは何か困り事があれば、競合他社ではなく、君に相談してくるようになるよね。
毎回相談してくれる課題の中に、君の商品こそがお客様の課題解決に最も優れた商品であることも出てくる。
また、誰もお客様の課題解決をしてあげられる商品やサービスがないのであれば、自社で新商品を作ることはできないか?
もちろん、ニーズはあるかや現実的に可能かどうかは十分に検討しないといけないけど、現に困り事があるのであれば、それを解決するのは商人の役目だから、お客様と一緒になって考えることができる。
すると、君にはさらに信頼が貯まるよね。
君に困り事を相談してくれる人たちは、当然、1社や、2〜3社でもなくて、10社、20社、30社、100社と増えていくことによって、必然的に君の会社のサービスも売り込まずに売ることができるようになる。
自社で競争することもないほど、相手の商品が優れているのであれば、競合他社のところに行って、代理店契約や紹介手数料をもらえないか相談してみればいい。
そうすることで競合他社の商品を売っても、自社の利益になるばかりではなく、実際にサービスを提供するのは競合他社だから、君は「時間」という資産も節約したことになる。
さらに、お客様からの信頼もまた上がる。
つまり、ビジネスで最も大事な事は、『商売の定義』を明確に持つことなんだよ。
最後にもう一度言うよ。
「商売とはお客様の困りごとの解決である」
僕の商売哲学では、それ以上でもそれ以下でもない。
そして実はこの教えは、僕が若い頃、僕の師匠に言われた言葉なんだ。
僕も昔、同じように師匠にたしなめられたことがある。
僕の師匠の場合は、もっと強烈な言葉で指導してくれたな。こんなふうに。
『いいか覚えておけよ。商売とは、お客様の困りごとの解決だぞ。もしお客様の購買に君の意思が1ミリでも関わってるのだとすれば、それはもう商売ではなく、、、
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