CB750FBのお客さんから、ASウオタニの取り付けを依頼されました。現状、純正の点火系で特に不具合はないのですが、点火系は突然故障するので予防整備としては良いことだと思います。また、性能アップのカスタムとしてウオタニに交換するのは定番ですね。

 

まず最初にやることは、純正のスパークアドバンサーの取り外しです。別名、遠心ガバナーと言って、点火進角をエンジン回転の遠心力で機械的に進角させています。ウオタニのキットは、コントローラーで電気的に進角させますので、この機械的進角機能をなくすことが必要です。

 

これが、ウエイトやスプリングを取り外して、可動部を溶接で固定して機械的進角機能をなくしたスパークアドバンサーです。

 

スパークアドバンサーを元に戻したら、点火時期の調整と

スチールコアとのエアギャップの調整を行います。

点火時期の調整は、スパークアドバンサーをFマークの位置

に合わせた時に、突起部分がパルサーのスチールコアと合うように、パルサープレートを回転させて調整します。

写真は、2番3番のスチールコアにスパークアドバンサーの突起を合わせたところです。

 

エアギャップは、0.4~0.6mmです。0.5mmのシックネスゲージを挟んで、スチールコア固定ねじを緩めて調整します。1番4番、2番3番両方のエアギャップを調整したら、ポイントカバーを取り付けます。

 

次に、純正のスパークユニットを取り外します。バッテリーの上に2個付いているのがスパークユニットです。

 

純正のスパークユニットのカプラーが差さっていたところに、ウオタニのコントローラーのカプラーを差し込みます。上側が1番4番で、下側が2番3番です。

コントローラー本体は、左サイドカバー内に取り付けます。取り付け位置を工夫すれば、工具ボックスのふたも開けることができます。

 

コントローラーの取り付け位置は、バッテリーの上でも良いのですが、この車両は開放型のバッテリーだったため、希硫酸の蒸発液にさらされるのを避けるために、左サイドカバー内に取り付けました。密閉型バッテリーだったら、バッテリーの上に取り付けても問題ないでしょう。

 

これは、純正のイグニッションコイルです。これを丸ごとウオタニのコイルに交換しますが、取り付けステーは再使用するので移植します。

 

ステーをウオタニのイグニッションコイルに移植したら、車両に取り付けます。

 

最後に、スパークプラグのギャップを1.1~1.3mmに広げます。通常のギャップは0.7mm程度ですが、ウオタニは点火能力が非常に高いので、ギャップを広げても火花を飛ばすことができます。ギャップを広げると、混合気が電極の間に入りやすくなるので、混合気に着火しやすくなるメリットがあります。

 

スパークプラグを取り付けたら、エンジン始動です。一発始動で、爆発音も一発一発が力強い音です。

元々、不具合があった訳ではないので、劇的な変化はありませんが、確実に点火能力は向上しています。

また、ウオタニのコントローラーは、任意で点火時期とレブリミットを変更することもできます。ノーマルエンジンなら変更する必要はありませんが、チューニングエンジンの場合は、変更することでよりエンジンポテンシャルを引き出すことができます。

CB用のウオタニフルパワーキットの価格は、現時点で95,700円(税込み)です。10万円以下でこのキットが手に入るのは安いと思います。カスタム目的でも良いですし、純正の点火系が壊れた時のリプレース用としても、とても良い製品です。