CB1100Rのフロントフォークについている、アンチダイブ機構のゴムブーツが裂けていたので交換しました。

ブーツは左右それぞれ、外側と内側に合計4個あります。

外側のブーツは、キャリパーのボルトを外すだけで交換できますが、内側のブーツはホイールを外さないと交換できません。

 

まず、キャリパーとキャリパーサポートを外します。アンチダイブ機構は、分解することなくブーツだけ交換できます。

 

リアにレーシングスタンドを掛けてから、フロントスタンドでホイールを浮かせて、ホイールを取り外します。キャリパーは、ホースでぶら下げるようなことはしないで、台の上にホースが突っ張らないように置きます。

 

ホイールを外すと、内側のブーツにアクセスできます。完全に裂けています。

 

外したブーツです。分かりにくいかもしれませんが、4個すべてに、ひび割れが多数入っています。

 

ブーツはサークリップで留まっています。小型のサークリッププライヤーを使って脱着しますが、結構コツがいります。

ブーツを嵌めてからサークリップを嵌めようとしても上手くいかないので、先にブーツにサークリップをセットしておいて、アンチダイブのピンにブーツを被せて、サークリップを嵌めます。

 

この車両ですが、3年ほど前にフロントフォークをオーバーホールして、アンチダイブのブーツも新品に交換しています。3年でブーツが裂けてしまうのは早すぎます。

実はこのブーツですが、一時期は廃番になったのですが、15年ほど前に再販されたという経緯があります。私は、再販されてからの材質に疑問を抱いています。耐候性、特に耐オゾン性が悪いと思います。この車両だけでなく、他の車両も同じ状況にあるのです。熱の掛かる場所ではないし、オイルが付着する場所でもないのに、早期にひび割れを起こし裂けてしまう。これは材質に問題があるとしか思えません。

前職の時は、不具合が発生したら、よく材質検査をしていました。図面通りの材質でないのなら製造不良、図面通りの材質なのに不具合が発生しているのなら、それは設計不良です。

いずれにしても、不利益を被るのはユーザーです。いちショップの立場でできることは、ホンダに情報を提供することしかできませんが、同じくユーザー様もお客様相談室に連絡して、あまりにも劣化が早いということを伝えることはできます。最初は、そのような事例は他にはないという回答しかしてもらえないのが常ですが、同じクレームが多数寄せられることで、メーカー側も調査をしてリコールやサービスキャンペーンに発展することもあります。

材質だけでなく、寸法違いなど不具合は多岐にわたります。パーツを購入して、何かおかしいと思うことがあれば、まずは購入先に問い合わせてみてください。そして、ショップや購入先は、“古い機種だからこんなもんでしょ”などと言わずに、不具合情報をメーカーに打ち上げてほしいものです。