ヘッドを乗せたら、カムシャフトを取り付けます。カムシャフトの取り付けは、非常に重要で注意が必要な工程です。

バルブタイミングを間違えると、バルブ同士やバルブとピストンが接触してエンジンを損傷させるからです。

CBのエンジンは、カムチェーンが2本あります。1本はクランクシャフトとエキゾーストカムシャフトをつなぐ長いチェーン、もう1本はエキゾーストカムシャフトとインテークカムシャフトをつなぐ短いカムチェーンです。

まずは、エキゾーストカムシャフトから取り付けます。

 

クランクシャフトを回して、1番と4番のピストンの上死点を出します。カムシャフトは、1番のカム山が外側を向いているのが、1番圧縮上死点です。カムシャフト右側にも合いマークがあって、ヘッド端面と位置を合わせます。

 

次にインテークカムシャフトを取り付けます。1番のカム山がエンジンの外側を向くようにします。

短いカムチェーンをカムスプロケットに掛けます。

 

カムスプロケットには合いマークがあって、水平の位置になるように合わせます。

 

カムシャフトホルダーは、カム山がリフターを押している部分から締め込んでいきます。2本のボルトを交互に締め込みます。

 

右側から2番目のカムシャフトホルダーは、カムシャフトのスラスト方向の動きを規制しているので、両端のホルダーと同時に取り付けます。

 

ボルトの締め付けは、トルクレンチを用います。当店では、定期校正されたダイヤル式のトルクレンチを使用しています。

 

エキゾースト、インテークのカムシャフトを取り付け、バルブタイミングが合っていれば、カムシャフト左側の合いマークは、ヘッド端面と水平の位置になります。

 

カムシャフトを取り付け、バルブタイミングが合っているのを確認したら、カムチェーンの張り調整を行います。

先に、クランクシャフトとエキゾーストカムシャフトをつなぐ長いカムチェーンの調整をします。調整は、インテークポート下側にある、テンショナーのキャップナットを緩めて、クランクシャフトを正回転させます。カムチェーンが張ったところで、キャップナットを締め付ければ完了です。

 

次に、エキゾーストとインテークのカムシャフトをつなぐ短いカムチェーンの張り調整を行います。エキゾーストポート側にあるロックナットを緩めて、ロックボルトを緩めます。クランクシャフトを正回転させて、カムチェーンが張ったところでロックボルト、ロックナットを締め付ければ完了です。ここは、ヘッド側の雌ねじが舐めやすいので、もし舐めてしまったら、ヘリサートを入れます。エンジン単体ならやりやすいですが、車載状態だとフレームが邪魔してやりにくいので、エンジン車載前にしっかりとトルクが掛かるか確認しておきます。

 

ちなみに、2番3番が上死点の場合は、カムスプロケットの合いマークは真上に来ます。

カムチェーンが1コマずれた程度なら、バルブ同士やバルブとピストンが接触することはありませんが、上死点と下死点を間違えたりしたら、確実にエンジンを壊します。何度も確認してから、クランクシャフトを回して、スムースに回転することを確認したら、エンジン組み付けは終了です。